報告書は、被害者の悲惨な発言を引用している。「母に話したとき、母は私を信じてくれませんでした。そして、彼女は私が有罪だとさえ言いました」と、子供の頃に聖職者から虐待を受けた1人の女性は証言している。「ポルトガルで聖職者の性犯罪について話すことは非常に難しい」と被害者が述べている。報告によると、43歳の女性は17歳のときに告白中に神父にレイプされている。彼女の事件は、現在警察が捜査している数少ない事件の1つだ。
ポルトガル教会司教会議(CEP)のドン・ホセ・オルネラス議長は、「苦しんでいる人々の痛みに深く懸念する」と述べた。CEPの特別セッションは3月3日に開催されることになっている。CEPによると、被害者1人あたり最大6万ユーロ(約850万円)の金銭的補償が議論されることになっているという。それを聞いた被害者とそのスポークスマンは憤慨してCEPの提案を拒否したという。
独立調査委員会は記者会見で、「聖職者の未成年者への性的虐待問題を今後も継続して監視していくためには新しい機関の設立が願われる」と提言している。なお、ローマ教皇フランシスコは8月、リスボンを訪問し、聖職者の性犯罪の犠牲者と会合する話が出てきているが、正式にはまだ決まっていない。
アイルランド、ドイツ、フランス、イタリア、米国、オーストラリアなど世界各地のカトリック教会で聖職者の未成年者への性的虐待事件が多発している。教会指導者はその度に事件を隠ぺいしてきたことが明らかになっている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年2月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。