小さなアタリを感じとる

安田船長は「48mから上5~6m」といった具合に、群れの感度の上限から5~6m上を探るように指示する。群れの中に天ビンを降ろしてしまうと、警戒してタチウオが沈んでしまうことがその理由だ。

誘い方は、指示ダナまで天ビンを降ろしたら、1~2mイトを巻いてミチイト・ハリスを張る。穂先を上げるというよりも、穂先を海面に向けたロッドの穂持ちを前方に押し出すようにしてエサを動かし、数秒ステイ。穂先を下げて元に戻すときにイトフケをつくらないように、リールを8分の1~4分の1回転ほど巻く。この操作を繰り返すことで、小魚が上方に逃げ泳ぐように演出できるのだ。

東京湾天ビンタチウオ釣りでドラゴンサイズ筆頭に34尾【忠彦丸】観音崎沖の様子(提供:週刊つりニュース関東版・近藤惣一郎)

タチウオの活性が高いときは誘いのピッチを速め、低いときはピッチを遅めたり、ときに同じタナでエサがゆらゆら漂うような誘いが効果的になることもある。

釣りの最中は、ロッドやリールのハンドル操作に目を奪われがちだが、大切なことは小さなアタリを感じとれるかどうか。釣り人の誘いを見ると、けっこうさまざまなパターンでアタリを出している。

イトは常に張っておく

小さなアタリを感じとるには、タチウオがエサにコンタクトしてきた瞬間にミチイトが張っていることが必要。コンタクトの瞬間、イトが弛んでいたら、すなわちイトフケがあると、優れたタックルを手持ちで使用していてもアタリは伝わらない。近年、「ノンストップバイブレーション」という激しく穂先を震わせ続ける釣法が広まっているが、これも闇雲にテンヤを動かすのではなく、ミチイトを張りながら揺らすことが、小さなアタリを感じとるためのポイントだ。

東京湾天ビンタチウオ釣りでドラゴンサイズ筆頭に34尾【忠彦丸】忠彦丸でキャッチしたタチウオ(提供:週刊つりニュース関東版・近藤惣一郎)

その際は、潮や風、船の横方向の動きだけでなく、揺れによる船の上下の動きを把握しながら、ロッドとリーリング操作でミチイトの張りを保ちながらアタリを感じとれること。そして前アタリ後も、アタリを保ちながらフッキングに持ち込むまでの間、さらにフッキングの瞬間もイトが張っていなければならない。

デッドスロー電動微速巻き

その観点から私がタチウオ釣りで20年以上前から行なっているのは、手持ち・置き竿、テンヤ・天ビン、定点の釣り・誘い上げの釣りに関係なく、常に同速度のデッドスロー電動微速巻きを付加しながら釣る方法である。

東京湾天ビンタチウオ釣りでドラゴンサイズ筆頭に34尾【忠彦丸】当日のタックル(提供:週刊つりニュース関東版・近藤惣一郎)

これは、仕掛けを巻き上げて上にタナを探るためではない。船の動きやエサをくわえて浮き上がるタチウオの動きでイトフケができそうになる瞬間でも、電動微速巻きが常に付加されていることで最適なラインテンションが保たれる。その結果、アタリを感じとり、その後のフッキングに確実に持ち込むことが狙いなのだ。

巻き上げ速度は、ダイワのリールならば3~6といった程度。状況にマッチした速度が見つかるとアタリが格段にわかりやすくなり、その後のエサ追わせ、フッキングも確実になってくる。