ならば、人口減少を前提とした「こども政策」とは何か?
すなわち、人口減少を所与のものとして、第一は、子供を希望する家庭への支援を最大限行うこと。第二は、人口減少をカバーする、無人化(ロボットの活用)や省人化(DXの推進)、海外人材の獲得など代替手段を追求し、人口減少社会を持続可能なものにしていこうとしています。
私が安全保障と共に重点政策の柱に据える「こどもの未来保障」は、もっぱら第一の少子化対策に関わる課題解決につながる施策展開です。
こども子育てをめぐる社会課題は多岐にわたります。妊娠から出産、育児、就学前の幼児教育、さらには初等中等教育、高等教育など、ライフステージに従って、問題も複雑化します。私も、これまで、待機児童の解消や、こどもの貧困や虐待問題、不登校やいじめなどに取り組んできました。そのことを通じて、次のような結論にたどりつきました。
将来を決定する妊娠から2歳児までの3年間“三つ子の魂百まで”という諺がありますが、小中学校における課題の大半は、就学前の育つ環境によって深刻な影響を受けるということが認識されるようになってきました。とりわけ、0‐2歳児の環境が決定的だというのが、名著『幼児教育の経済学』で有名なヘックマン博士の結論です。
政策的には、母親の妊娠から2歳児までの3年間をどう支援するかで、その後のこどもや子育て家庭の状況が方向づけられるというのです。換言すると、その“決定的な3年間”に適時適切な支援を各家庭に提供できれば、発達障害(最近は子どもだけでなく、親も!)や、虐待、貧困、(外国人の親による)コミュニケーション不全、不登校などを未然に防ぐことができると考えます。
だから、日本にも「ネウボラ」が必要だその意味で、私がかねてから提唱してきたフィンランド発祥の「ネウボラ」という仕組みは優れていると思います。
妊娠から就学前までの7年間を定期的な健康診断という“機会”を通じて“かかりつけの保健師さん”が責任をもって子育て家庭“丸ごと”ケアする(リスクを早期に発見し、必要な専門的支援につなげる) “無償”の制度です。
我が国にも同様の仕組みを導入している自治体は少なくないのですが、十分な研修や訓練を受けた専門の保健師や保育士の数が圧倒的に足りず、中途半端な状況にとどまっています。
我が国には、子供関連の意欲的なNPOも育ってきていますし、まだまだ地域コミュニティの力も捨てたものではないし、予算と中核人材の確保ができれば、本場フィンランド以上の成果を挙げる仕組みを構築することができると確信します。日本にも真のネウボラを実現するべく全力を尽くします。
こども家庭庁発足の今年こそ、「こどもの未来保障」元年として、子供を望むすべての家庭が希望を失うことのないような環境をつくり上げることを目指し、政府与党に一因として、政策実現に粉骨砕身頑張ってまいります。
編集部より:この記事は、衆議院議員の長島昭久氏(自由民主党、東京18区)のオフィシャルブログ 2023年2月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は衆議院議員 長島昭久 Official Blog『翔ぶが如く』をご覧ください。