黒坂岳央です。

こちらの記事でリモートワークを続けた結果、人と会うのが億劫になり化粧や服装に関心がなくなっていく話が取り上げられ、その原因を臨床心理士が解説している。興味深い内容である。

理由を端的に言えば、「言葉が人に伝達する情報量はわずか7%に過ぎないため、ノンバーバル情報がカットされた状態が続くことで人と会うのが億劫になるという抑うつ的傾向が現れるのだという。

ここ数年、家族以外の人間とほぼ会わない生活を続けているが、たしかに誰かと直接会うのは億劫に感じる気持ちは分からなくもない。服装を整えたりする面倒さから開放されるメリットはあるものの、一方で大きな何かを失っている気もする。

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人に見られると若返る

以前、老人医療についての書籍を読んだことがある。読書はかなりしている上に、ずいぶん昔のことなのでタイトルも覚えていないのだが、簡単にいえば「痴呆老人が老人ホームで恋をした結果、見てくれにこだわるようになったり痴呆行動が改善された」ということである。

同じ話は他にもある。昔、金さん銀さんという双子の100歳おばあちゃんが話題になった。彼女たちはメディアに取り上げられる前はかなり痴呆が進んでいた時期があったという。だが、お茶の間で人気を博すようになってから仕事を通じて痴呆行動が改善されたという話だ。

つまるところ、人間は誰かに見られていると感じている間は、若返りの効果があるのではないかと思う。テレビに出たり、人前で講演をするとなると服装にはとても気を使う。色合いとか上下服の組み合わせとか季節感など、脳を刺激するのは間違いないだろう。また、それだけでなく人と会えば言葉以外の情報交換もかなり多くなる。逆を言えば見てくれに気を使わなくなると老け込むのではないかという理屈も成立するだろう。

人と会わないと人生の幅が狭まる

人生を変えるきっかけはほとんどの場合、人との出会いである。それが対面であれ、スマホの画面越しであれ、書籍ごしであれ、人は最も人から影響を受ける動物である。良くも悪くも影響度合いはあまりにも強いため、いい影響、悪い影響、変化をもたらす。そしてこれが人生の幅を広げてくれると思うのだ。