2023年2月6日、立憲民主党の福山哲郎議員はツイッターで次のように署名を呼びかけた。

以下のキャンペーンに賛同をお願いします!「更迭だけで終わらせない!#岸田政権にLGBTQの人権を守る法整備を求めます」

ところが、このオンライン署名サイト(Change.org)は、一般のLGBT当事者からは大変評判の悪い代物だった。数名の運営スタッフの中にトランス活動家がいて、自分が気に入らない署名運動については理不尽な削除をしているともっぱらの噂なのだ。

『結婚・家族制度を大切にする保守の会』が行なっていた「『東京都パートナーシップ宣誓制度』創設に待った!」も、突如消されてしまったキャンペーンのひとつだ。

この会は、性的マイノリティに不当な差別があれば解消すべきだが、多様な性についての一方的な考えを押し付けるのはやめてほしいという主張を行なっていた。東京都がヒアリングをした有識者の大半が左派LGBT活動家だったことも、中立性の観点から問題があると指摘した。

果たして、左派LGBT活動家に異議を申し立てることは差別か否か。

【ケース4】

 

2023年2月、大阪府警が障害者支援団体の代表理事を準強制わいせつ容疑で逮捕したことがわかった。マッサージと称して部下の女性の下半身を触ったという。しかし、この男性は容疑を否認し、「体は男だが、心は女だ」「女性の体に興味はない」と話しているのだそうだ。

警察は「これまでの調べでは女性の人格はなく、性的な目的を隠すために嘘をついている」と発表し、男性の供述を全面否定した。

SNSではすぐさま容疑者のFacebookやInstagramが検索された。すると、警察の主張とは異なり、数年前から髪を長く伸ばして女性装で過ごしていたことが判明したのだ。国連の定義に従うと、この人は完全なトランス女性に当たる。

修正LGBT理解増進法が施行されれば、この場合差別をしているのは、容疑者の性自認を信じなかった警察のほうになる。性自認とは自称のことである。第三者がそれを疑ってはならないのだ。

如何だったろうか。筆者はLGBT法や改憲による同性婚に賛成ではあるが、一筋縄ではいかない状況をご理解いただけたのではないか。

また、LGBT理解増進法は、ハコモノ行政と紐付いていると言ったら驚かれるだろうか。男女共同参画社会基本法は、基本計画が策定されることで、それに基づいて地方の隅々に至るまで様々な施策が展開された。全国各地の自治体が予算をつけ、男女共同参画センターというハコモノが乱立したことを記憶している人も少なくないだろう。

LGBT理解増進法も同じ。基本計画のもと、全都道府県に LGBTセンターが作られることは間違いないと筆者は感じている。

そのセンター長には誰がなるのか、どの活動家が職員として採用されるのか、どこのLGBT団体に教材を発注するのか、どんな人を講師として小中学校に派遣するのかなど、すでに水面化では心理的綱引きが行われている。

自民党側のLGBT活動家が主導権を握るのか、それとも左派系のLGBT活動家が主導権を握るのかで自分たちへの予算配分が大きく変わってくるのだから当然のことである。意識高い系の人たちはLGBT法=ピュアなイメージを持っているかもしれないが、もっとドロドロした法律なのである。

男女共同参画予算が適正なのかどうかが議論になっている折、今後はLGBT予算についてもしっかりチェックしていかなければならないと思う。筆者は2013年、アメリカ国務省に招聘されてLGBT研修に行ってきた。そこでは、どの州を訪れても立派なLGBTセンターのビルがあった。サンフランシスコにはLGBTの歴史資料館も作られていた。

LGBT理解増進法ができると、いずれ日本でもこうした光景が広がることとなる。国民の税金がどのように使われていくのか、注視したい。