ではバイデン氏の本当の敵は何か、といえばやっぱり、80歳という年齢なのだろうと思います。年齢は重ねると人間の成熟度が増す人も多く、バイデン氏はそういう点ではいぶし銀を放っています。それに逆立ちしてもアメリカの大統領です。多少のポカはあれど酷い醜聞もありません。ある意味、無欲の政治家魂とも言えます。ここは評価しているのですが、年齢を重ねるともう一つの問題、チャレンジ精神の減退がどうしても目立ってきます。カラダを張って勝負に出るという汗をかく仕事もなかなかできません。

その点からすればバイデン氏が民主党を本当に大事にするなら自分が後進に道を譲れるよう人材を育てるべきだと思うのです。私なら絶対に出馬宣言はしません。なぜなら出馬宣言をしたらその時点で民主党内では厭世観的な意欲喪失を招くからです。「いったいいつまで大統領、やる気なの?」です。また共和党からすれば与しやすいとみるでしょう。外交的にも既に手法は分析されていますのでシナリオは描きやすくなります。

バイデン氏が一番苦心している対共和党対策ですが、直観ですが、共和党のスタンスは世界の潮流からして受けないとみています。強硬ですが、長い時間をかけてどんどん衰退していくトレンドを感じています。理由の一つは移民が年間50万人、彼らは共和党支持派にはなかなかならないからです。また、都市化が進み、国民の生活が豊かになればこれまた民主党が有利になりやすいのは残念ながら世の趨勢です。カナダが中道左派で安定し、どれだけ政権がぼろくそに言われても中道右派が太刀打ちできる余地は今のところ、ないのです。

世界がアメリカに期待すること、それは理にかなった裁定者としてのアメリカなのかもしれません。警官ではないとオバマ氏が唱え、トランプ氏も同調しました。バイデン氏もそのポリシーは貫いています。ですが、世界は未だに常にアメリカを見ています。経済、政治、外交、社会、文化…あらゆる分野でアメリカの発信力は未だに衰えていません。故にしっかりした裁定者になってもらうこと、クレバーなアメリカになること、その為には圧倒的な信任を得られるリーダーシップが求められると言えましょう。

アメリカも過渡期です。このまま成熟し、衰退するのか、Rebornできるのか、私は次の大統領選びがそのキーになるとみています。バイデンやトランプという古い名前は必要ないのです。刷新すべきでしょう。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年2月9日の記事より転載させていただきました。