演説するプーチン大統領クレムリン公式HPより

プーチン支配の本質とは?

プーチンはロシアにおいて独裁体制を築くために、経済の自由化を担保すると称してオリガルヒたちに自分への忠誠を誓わせた。エネルギー輸出が経済の柱であったロシアは、オリガルヒに富を偏在させることで、自分に逆らえない経済支配体制を作りつつ、更に周辺国への影響力を増してきた。

数多くの証言が明らかなように、プーチンは独裁体制の構築と自らの富を膨らませることで、ソ連時代から連綿と続く汚職と権力による支配体制を継承してきたのだ。共産主義体制の本質を知れば知るほど、如何にプーチンがその権力構造をソ連時代に培ったかが分かる。

プーチンがKGB時代に人心掌握と汚職の構造を作り上げたと言うことについては、私は懐疑的で、むしろ猛烈な権力欲、金銭欲が潜在的にあり、公務員として役職が上がるにつれ汚職で儲かることに気づいたから権力集中と蓄財により強く傾注したと考えている。

エリツィンが政権を追われる時、汚職によって蓄財したのを覆い隠してくれる人材として登用されたことで、プーチンは自分が大統領になる夢に大きく近づいた。その為なら、エリツィンが行った蓄財の手法を引き継ぎ、エリツィンの政治的な手腕も自分のものにしながら権力基盤を固めていった。そして、チェチェン共和国によるクーデターをでっち上げ、ロシア国民の安全を確保すると数万人を虐殺した。

プーチンは自分のやりたいことのためなら、人を殺すことなどなんとも思っていない。チェチェン共和国で(でっち上げられた)テロ集団を平定したことで名を上げたプーチンは、国内でも圧倒的な支持を得てきたが、同時に世界の指導者もプーチンを評価するようになった。

プーチンが引き起こしたことについては、具体的にはエリツィン大統領の不正が暴かれ始めた時、プーチンの指示でロシア共和国内のFSB(ロシア連邦保安庁)がチェチェンの独立運動に併せて行われたテロ事件であるとでっち上げることでエリツィンへの追求を防ごうとしたことが、証拠付きで証明されている。

その後、エリツィンからプーチンに政権移譲する際、子ブッシュは、プーチンをして国家の為に生きている立派な指導者だと言ったが、それほどにプーチンは人心掌握する術を心得ていた。

彼は政敵やプーチン蓄財の真相を究明するジャーナリストを徹底的に排除することで権力にしがみついてきたし、それは現在のロシア国内でも繰り返されている。ソ連時代を知るロシア人は、政権が世論を誘導し、余計なことを言う人々を粛清することを知っている。それがソヴィエト連邦の歴史であり、ロシアの歴史であることもよく知っている。

つまり共産党とはそう言う政党だし、プーチンはそのソ連の流れを汲むやり方で政権維持を行おうとしていることを知っている。事実、ウクライナ紛争が勃発した後、多くの反プーチン勢力が各地でデモを行ったが、デモ参加者は秘密警察によって相次いで検挙されることで、国内での反プーチンの動きは鎮静化されたと言われている。同時に海外メディアが行うロシア国内の報道も急速にその報道が減少したが、これも秘密警察の検挙を恐れて、海外メディアが相次いでロシアを脱出したことによると言われている。

プーチンにしても習近平にしても金正恩にしても、共産主義のような専制政治を行う体制は、情報をまず遮断する。国民の知る権利を奪うことで、国内で何が行われているのか?或いは、ウクライナ-ロシア戦争の実態は何か?を知らせない。そして、それらを追求するジャーナリストは、いつの間にか人々の前から姿を消す。

それは恐怖政治以外の何者でもない。