渋谷スクランブル CHUNYIP WONG/iStock

実は私は渋谷で飲食するのが好きではありませんでした。理由は落ち着きある店が少なく、誰をターゲットにしているのかわからないような店が多いのです。道玄坂の上の方や奥渋谷まで行けば地元の方のお店はあるのですが、一般の人は行かないでしょう。

街づくりに欠かせないのは顔と緑地、また人がどれだけ融合できるかが重要です。例えば秋葉原は歩行者天国で有名になりました。しかし、オタクのちょっと暗い感じと駅前の6車線以上ある広く明るい開放的な空間や整然並ぶビル群のイメージが全くマッチしないので最近、アキバのイメージが変わってきているんです。

ところで、駅という構築物に対して90度直角で大きな道がそこを起点としてまっすぐ伸びているターミナル駅って思い浮かびますか?東京駅丸の内口、八重洲口と並ぶのが池袋東口なのです。他にはありません。これはある意味、芸術的な美しさがと言える潜在的価値なのです。だけど八重洲口や池袋東口はその魅力を引き出しているとは思えません。八重洲口に関しては丸の内側に押された「裏側」というイメージが長年あります。八重洲側にはサラリーマン御用達の大飲み屋街があるのも案外知られていない事実です。

では池袋。最近、豊島区が東口について全面ホコ天プランを提示しました。そもそも豊島区は文化の街として強く発信、西口の芸術劇場に東口のハレザ、そしてサンシャイン通りとパワーアップする中で全面ホコ天は極めて大きな集客力を得るでしょう。特に道の中央にステージを作って文化発祥を行えば日本で誰も真似ができない唯一の超ド級の街づくりができるはずです。それと池袋東口には南池袋公園というピクニックができる大きな公園があるのも他のターミナル駅にはない魅力です。

私はアニメグッズなどを取引している関係でそのような業者も知っているのですが、実は秋葉原の店をたたみ、池袋に集中する動きが如実に表れてきています。そもそもはアキバは男の子、ブクロは女の子という棲み分けがあったのですが、これすら崩れ、池袋総取りの様相があるのです。

渋谷 vs 池袋という構図だけで考えると申し訳ないですが、池袋は広さで圧倒しています。おまけに土地はフラットで大規模再開発の余地はまだいくらでもあるのです。渋谷は東急という一つの私企業が中心となって開発した街ですが、そこに残された最後の一つのデパートが西武百貨店であるというのも因縁でしょうか?

新宿西口の駅前再開発も進みますが、あの駅の最大の失敗は地下に車寄せを作ったことでしょう。だから東京駅や池袋のような芸術性が出せないのです。あのデザインは当時は良かったのですが、街を複雑、かつ、歩行者を分断する結果となりました。よって小田急デパートがどうなろうが、新宿西口は今の西口以上に代わるものではありません。

ターミナル駅前の活用の仕方も今後2-30年で大きく変貌すると思います。最終的には線路の上の高層住宅を求める声が増えるでしょう。。職住接近です。その上でターミナル拠点に人を集積させるのにどうやって呼び込むのかが重要になってくると考えます。モノを売るのか、働く場所にするのか、文化を発信する場にするのかなど、いろいろあると思います。それぞれのターミナル駅が工夫を凝らしながら面白い街づくりをしてもらいたいものですね。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年2月7日の記事より転載させていただきました。