5月にオープン予定の新拠点、量産工場や見学可能エリアも

事業説明会では体制強化に向けた動きについても説明がありました。2023年5月に移転する予定の都内の新オフィスは、オフィスエリア、500キロ級の衛星を同時に4機製造できる工場や管制室、さらに一般の方が宇宙の持続可能性について学べる見学可能エリアが設けられます。

また、アストロスケールホールディングスの子会社で、人工衛星の製造・開発を担うアストロスケールの代表取締役社長に加藤英毅さんが2月1日付けで就任することが発表されました。

「道が見えてきた」アストロスケール、25年まで実証衛星を毎年打ち上げ。サービスの本格稼働を目指す【宇宙ビジネスニュース】
加藤英毅さん(画像=『宙畑』より 引用)
宙畑メモ
グローバルの方針決めや資金調達を担うアストロスケールホールディングスの傘下に、開発や営業などを担当する各国の拠点が完全子会社として配置されています。

加藤さんは、三菱電機で衛星開発に従事した後にアメリカに渡り、タレス・アレーニア・スペースやロッキード・マーティンなどで衛星開発を行った経験を持っています。フランスや中国での駐在経験もあり、事業説明会では自身の経験を「色々な国の宇宙産業を見る経験をしました」と振り返りました。

岡田さん「道が⾒えてきた」。創業10周年を前に感じた変化

アストロスケールは2023年5月に創業10周年を迎えます。記者から意気込みを聞かれると岡田さんはこう語りました。

「何か扉を開けても、また次の扉がある。そんなことの繰り返しでございます。そのくらい(サービスの実現は)難しいものです。ただ、もう今は道が⾒えてきました。それが⾒えているのと、⾒えていないのでは全然違うんです。あとはやり切るのみです」

創業当初は、デブリ除去や衛星の寿命を延長させる事業構想について「ゴミを除去して誰がお⾦を出すんですか」と厳しい意見を言われることもあったと岡田さんはいいます。

しかしながら2022年にELSA-dによる技術実証を成功させたこと、持続可能な宇宙利用を目指すためのルールづくりが進んでいること、サービスについての問合せが増えて需要が見えてきていることから、状況が大きく変わったそうです。デブリ除去サービス開発を牽引するアストロスケールの動向に今後も注目が集まりそうです。

「道が見えてきた」アストロスケール、25年まで実証衛星を毎年打ち上げ。サービスの本格稼働を目指す【宇宙ビジネスニュース】
アストロスケールの創業者兼CEO 岡田光信さん(画像=『宙畑』より 引用)

提供元・宙畑

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