首相秘書官報道に見るメディアの青臭い正義
首相秘書官がオフレコの話を暴露されて更迭された。秘書官の立場でない個人がどのように感じるかということと、政治家の施策として何を実行するかは別だ。
朝の番組で、オフレコの発言でも報道する価値があったと語っていたコメンテーターがいたが、アホかと思う。オフレコだから、秘書官としての公式な立場ではなく、個人としての感情を発することができたのだ。オフレコで情報を取り、いざという時に情報をまとめて発信するのが記者ではないのか?
秘書官という立場を考えれば発言は軽率すぎるのだが、好きとか嫌いかを感じるのかは自由だし、建前に基づいてメディアが今回の件のように心の中まで縛ることをしていたら、政治家から本音が聞き出せなくなる。嫌なことでも、世界的な動向や国の将来を考えて施策に盛り込むのが政治だし、オフレコ発言を報道するのは掟破りだと思う。
好き嫌いの感情までマスコミが個人に強制することが異常なのだ。今回の件は青臭い正義感の暴走に過ぎない。これで本当にいいのか、日本のマスコミは!
編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2023年2月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。