こんにちは。Saoriです。
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黄金の谷(Val d'Or)で作られるトラピストビール
年に一度のオープンデーに醸造過程を見学
黄金の谷(Val d'Or)で作られるトラピストビール
ベルギーといえばチョコレートやワッフルが有名ですが、それに並ぶのが、2016年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されたベルギービール!オルヴァルビールはベルギー南部のアルデンヌ地方にあるオルヴァル修道院で醸造されるトラピストビールです。トラピストビールとは、キリスト教の一派であるトラピスト会修道院の中で、定められた規則を遵守して作られるビールで、現在生産が許されているのは世界でも12ヶ所のみという希少なビールです。
今回は、オルヴァル修道院で年に一度、2日間のみ公開されるオープンデーについて紹介します。
オルヴァル修道院は、1070年にイタリア人のマチルド伯爵夫人による資金提供を受けて南部イタリアから来た修道士達が定住したことで、設立されました。その後、火災による修道院の消失やヨーロッパの戦争、フランス革命などの影響を受けながらも活動を続け、1931年からは修道院再建資金を得るためにビールの醸造を始めるのです。修道院にある泉には、設立の立役者であるマチルド夫人にまつわる伝説があります。
夫人がオルヴァルの地を訪れたとき、不運なことに亡き夫の形見である結婚指輪を泉に落としてしまいます。悲しみにくれた夫人が「指輪が戻ってきたなら、この地に修道院を建てます」とお祈りを捧げたところ、泉から指輪を咥えた鱒が出現したのです。
このことから修道院の一帯は、黄金の湖(Val d'Or)= Orvalと呼ばれるようになりました。修道士の生活やビールの醸造に今でもこの泉の水が使用されているのです。ビールのラベルにもこの伝説にちなんで指輪を咥えた鱒が描かれています。

オルヴァル修道院は、ルクセンブルクとフランスとの国境に近いベルギー南東部に位置します。ブリュッセルから180km、パリから290km、ルクセンブルクからは60kmと少し距離がありますが、車でアクセスすると緑に囲まれた山道の風景を楽しむことができます。公共交通機関を使う場合には、ブリュッセルからルクセンブルクもしくはアーロン行きの電車に乗り、リブラモント駅でバスに乗り換える方法が良いでしょう。現在、フランス革命の際に破壊された古い修道院の遺跡と併設されたミュージアムが一般公開されています。
また、修道院にはゲストハウスやキャンプ場も併設されていますが、周辺で宿泊施設を探す場合、レストランなども鑑みると、国境を超えたフランス側の方が多く宿泊施設の選択肢がある印象です。
年に一度のオープンデーに醸造過程を見学
オルヴァル修道院での醸造過程が一般公開されるのは、年に一度2日間のオープンデーのみです。2023年は9月15、16日です。料金は無料ですが、インターネットで予約をする必要があります。見学は約1時間、終了後にはビールの試飲ができるほか、記念品としてオルヴァルのロゴが入った栓抜きがもらえます。

ブリュワリーの中は、原料の紹介、麦汁作り、発酵、熱成、瓶詰め、保存、という段階に分かれています。現在は機械化されている作業がほとんどで、一時間に27,000瓶のビールがベルトコンベアを流れていく姿は圧巻です。完成したビールは特徴的なオレンジ色のケースに入れて出荷を待ちます。

工場見学の後はお待ちかねのビール試飲。
チーズも無料で振る舞われ、なんとおかわりし放題です。出口前に設置された売店では、オープンデー限定のビールとグラスのセットやオルヴァルチーズ、限定グッズなども購入することができます。ちなみに、修道院で作られたトラピストビールの販売は営利目的ではなく、収益は修道院の運営やメンテナンス、慈善団体への寄付に使われるそう。
