これが意味することはドル指数の下落です。通貨量が圧倒的に多い米ドルがもたらす為替相場への影響力は日本個別の事情よりはるかに大きいのです。特に欧州で強い利上げが継続される見込みであること、日本の物価も4%という水準になってきていることから北米が早めにピークアウトしたものの日欧はキャッチアップ状況にある点でユーロや円はどうしても買われるバイアスがかかるだろうというのがシナリオです。
また日銀は物価が4%上昇を超えてきているのに大規模金融緩和をし続ける正当な理由を見出すことは難しいでしょう。逆に日銀に聞きたいのですが、一体何%の物価上昇がどれぐらい続いたら大規模金融緩和をやめ、利上げにシフトするのでしょうっか?ご承知の通り物価と金利には一定のタイムラグがあります。物価は遅行するので金利を上げても約3か月ほど後にならないとその結果は分からないのです。このまま大規模緩和を維持すれば日本は今年の夏が非常に苦しくなるとみています。
このような中で雨宮氏が市場の重圧とどう対峙するのか、これもまた大きな着目点でしょう。世界の中銀は粛々とその政策を進めるのですが、日本だけは日銀が生活に影響ある政策を行うと一般紙から雑誌、メディアが一斉攻撃し、批判の嵐となります。これは独特というか、異常な反応だと思います。これでは日銀が市場と国民を忖度しなくてならず、それが逆に思い切った政策に踏み込めない状況を生み出しているとみています。
では任命する岸田首相の腹積もりはどうなのでしょうか?私は岸田氏は黒田氏の政策は好きではなかったように感じるのです。その点、雨宮氏は市場の反応を恐れてか、このところ、ほとんど発言もなければ講演もありません。つまり、考えていることが全く分からないのです。が、首相が雨宮氏を推す以上、首相と基本的な歩調は合わせられるとみるべきなのでしょう。それはやはり、YYCなどテクニカルになり過ぎた金融政策を緩やかに通常に戻す方向にすることだと思います。
まずは市場の動きに注目ですが、しゃべらない雨宮氏の本心は誰もわからない、これが最大のリスクでもあるとみています。黒田氏に遠慮をしているのか、このやり方が日本の当たり前なのか、その点では日本にはサプライズが多すぎるような気もします。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年2月6日の記事より転載させていただきました。