ソ連崩壊後、ウクライナには大量の核兵器が残され、世界3位の核保有国となった。ところがウクライナは周辺国の善意を妄信し、保有する核を全て放棄してしまったのだ。プーチン氏も権威を取り戻そうが、生き残ろうが、政治生命は終わりである。自分の野心のために国民を騙して自国の軍隊を使ったのである。
これまで米国があまりに強大だったため、日本は日米安保条約で十分に安全が保たれると判断してきた。ソ連の強大さに立ち向かうには弱すぎた。こう考えると日米安保に加えた軽武装という構えで十分だったのではないか。またその後ソ連が瓦解したのも、日本にとっては幸運なことだった。
しかし2000年以降、中国が豊かになり、「台湾を獲る」と明言し出した。日本を取り巻く国際環境は悪化し始めたのだが、日本の左翼政党は中国を無視したままだった。そのため軍事情勢は政治の外に押しやられ続けた。
産経新聞とフジテレビが11月に行った共同世論調査では、相手国のミサイル発射拠点などを攻撃する「反撃能力」の保有について「持つべきだ」(62.1%)が「持つべきでない」(30.1%)を上回った。支持政党別でも自民党支持層の70.9%、立憲民主党支持層の53.4%、日本維新の会支持層の82.4%が保有すべきだと回答した。
立つべき時に立てない国は潰れるのだ。
(令和5年2月1日付静岡新聞『論壇』より転載)
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屋山 太郎(ややま たろう) 1932(昭和7)年、福岡県生まれ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、解説委員兼編集委員などを歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。著書に『安倍外交で日本は強くなる』など多数。
編集部より:この記事は一般社団法人 日本戦略研究フォーラム 2023年2月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は 日本戦略研究フォーラム公式サイトをご覧ください。