私はアメリカのような社会を目指したいとは全く思わないのですが、人間社会は一定の成長が必要です。しかし、今の日本では若いうちにステップアップしなくてもどうにかなる社会が形成されているので一定年齢になるともう上に上がれなくなってしまうのです。また社会の監視の目もなくなりました。農耕民族には共同体という監視システムが存在していたのです。それが無くなってしまったので「団地の鉄の扉の向こうの話」になるのです。
空き家でも維持する理由は固定資産税が1/6になるからです。しかし、これは早急に改変すべきでしょう。カナダは投機による住宅費の高騰を抑える目的もあり、空き家には厳しいペナルティを課すようになっています。賃貸住宅の空きがカナダはほぼ皆無なので賃貸住宅へのペナルティは存在しません。一方、日本ではこれを参考にする意味はあると思います。ボロアパート対策です。ずばり、私は空室税をかけたらよいと思います。そうすれば否が応でも大家は対策をせざるを得ません。あるいは固定資産税の特例は賃貸住宅は適用比率を変えるなど方法はあるでしょう。
行政は不動産を循環させ、空き家の課税を強化し、各種税金などの未払いに対して抵当をつけ、抵当額が時価を上回った場合に接収するか、土地売却時に優先度1位で弁済する仕組みを導入すべきです。カナダにはそれがありうまく機能しています。例えば分譲住宅で管理費を払わない場合に管理組合が簡単に未払金を抵当として不動産に登記し、のちに優先弁済を受ける仕組みです。これは不動産管理上、大変便利です。
この仕組みがあれば新潟県湯沢のゴーストマンション群も解決できる糸口はあったはずなのです。
東京など大都市の場合、住宅地の緑地が少ないので東京都が所有する土地持ち会社(Land bank)を作り、将来、都が持つ土地と民間の土地をパズルのように動かし、一団の土地を生み出し、大規模環境整備を図るという都市計画が欲しいところです。
日本はとにかく、空き家を減らすこと、そして土地の有効利用を考えねばなりません。ところがなぜかグローバルな都市計画という点で国土交通省は腰が重いのです。100年後の日本のビジョンを示すべきでしょう。都心の高層住宅だけが都市計画ではないのです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年2月2日の記事より転載させていただきました。