回転寿司で働く人達への大きなダメージ

「もう気持ち悪くて回転寿司にいけない」という声がSNSで溢れているが、問題はそれだけではない。回転寿司企業で働く従業員の雇用が危ぶまれることである。

業界最大手のスシローは社員が1,731名、アルバイト・パートが46,138名(数値はスシローホームページより2021年9月30日時点)を抱えており、来店客の支払いによって雇用が作られている。これで客足が遠いのてしまえば給与、雇用にも影響する。中には失業が原因で生活が困窮したり、大学をやめざるを得ないものもでてしまう可能性もある。さらに株価下落となれば、株主の被るダメージも計り知れない。「回転寿司はテロがあるから投資リスクがある」となれば、将来的な投資家心理にも影響する。

SNSでも「再発防止のために訴訟に踏み切るべきだ」という声はかなり優勢に思える。2013年にいわゆる「バイトテロ」の被害に遭ったそば店は事件が原因で倒産、加害者に1,358万円の損害賠償を求めて提訴している。当時頻発していたバイトテロは高額訴訟の効果からか、一時的に収まっていた。あれから10年が経過し、アルバイトする世代が入れ替わったことで再びテロが発生している状況と見ることができるだろう。

これまでの回転寿司は「回っている他の寿司には手を付けない」というモラルが守られることを前提のビジネスモデルであった。しかし、このような問題が頻繁に起きてしまえば、既存のビジネスモデルを見直す企業も出てきて他の企業も追従する状況は起こり得る。そうなれば企業の経営コストも高くなったり、利用客側の利便性が損なわれる可能性もある。

日本の回転寿司を守ることができるのは利用客側の節度である。若者を持つ親は我が子をテロリストにしないためにも、回転寿司に限らずしっかりとSNS教育をした方が良いだろう。

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