IT技術の急速な発展やコロナウイルスなどによりVUCA時代に突入する中、企業における営業組織や営業人材のあり方が変化しています。
今回は、VUCA時代における営業の変化と未来の営業のあり方について、フリーランス営業人材と企業をマッチングするプラットフォームを提供するカクトク株式会社の代表取締役・満田聖也さんに寄稿いただきました。
VUCA時代で、企業における営業組織や営業人材のあり方が大きく変化
企業の営業活動を取り巻く環境は、まさに過渡期を迎えています。
市場環境の変化の急速化やコロナウイルス感染拡大に伴う商習慣の変化などにより、営業領域にパラダイムシフトが起きています。
このようなVUCA時代において、多くの企業が事業モデルの変革や新規事業の創出、拡販戦略、営業組織のあり方を根本的に見直す必要性に迫られているかと思います。
これまでの企業における営業組織のあり方は、自社で正社員の営業人材を抱えて育てるやり方が主流でした。時間とコストをかけて会社のカルチャーや営業手法を叩き込み、特定の商材に合わせた営業プロセスをこなせる営業人材に育てるというものです。
しかし、このやり方は時間がかかる点と正社員で大規模に営業組織を抱える必要がある点において、VUCA時代には適してないケースが増えています。
プロダクト・ライフサイクルの短命化や即戦力正社員の採用競争が激化する現代では、事業変革や新規事業の創出から市場シェアの拡大までを短期間で行わなければならず、営業組織のあり方も時代に合わせた形態にアップデートする必要があります。
また、営業人材の視点で見ても、働き方やあり方が大きく変化しています。労働に対する価値観の多様化が社会に広がり、介護や育児、コロナによる人生計画の見直しなどをきっかけに正社員からフリーランスや少数の営業代行チームとして独立する事例が増えてきています。
その結果、正社員として、1つの企業に属し特定の商品を売る働き方だけではなく、複業やフリーランスなどの市場に優秀な営業人材が増えており、今後より加速すると見られます。
企業はこのような変化にどう向き合うべきか?
それでは、このような変化に企業はどのように向き合うべきなのでしょうか。
私は営業活動を「フリーランス等の流動的な即戦力を活用し、短期間で適切な成長施策を推進する」あり方に変革する必要があると考えます。「流動的な営業リソースの活用」の有用性について、2つの観点で整理しましょう。
①最適な営業施策の特定を短期間×最小コストで行える
1つ目は、最適な営業施策の特定を素早く、低コストで行えることです。新規顧客へのアプローチ手段やツールが多様化してきており、自社の事業や顧客層に最適な営業施策や手段を特定することは1つの課題になっています。
顧客側が受ける体験の期待水準も上がっている現代において、単に架電や飛び込みの数をこなせば良いわけではなく、営業先の業界慣習と顧客の購買価値観を考慮した質の側面とアクセスできる顧客の数の側面の両方を見て、施策特定を実行する必要があります。
しかし、それらの最適解を正社員の営業組織で特定していくには、採用期間と施策検証の期間を考慮すると膨大な時間とお金がかかります。
したがって、各施策に長けた外部の即戦力を柔軟に活用して、短期間で同時に複数の施策やツールを検証し、一定の検証期間で効果の高い施策とチームの予算拡大をすることで、短期間で自社に最適な営業施策と即戦力の確保が可能になります。
②デジタル化で営業活動が透明化、生産性の改善や標準化の精度があがる
上述の外部の営業即戦力人材は、普段から最新のデジタルツールに対する意識も高く、それらを活用した営業施策にも精通していると感じます。その結果、最新の営業ツールや手法を導入することができるため、営業生産性にも大きく寄与することが期待できます。
営業プロセスにおけるデジタルツールの活用は、従来のアウトソーシングにおける大きな欠点を利点に変えることにつながります。これまでのアウトソーシングは多くが大手企業のマニュアル化されたノンコア業務を外に出すという市場が主流でした。
その背景には、アウトソーシングによるブラックボックス問題がありました。業務の遂行に関して、現場が見えづらいがゆえに、業務の成功要因や失敗要因の特定ができず、改善や標準化が進めづらいというものです。
しかし、WEB商談システムやクラウドコールシステムを活用すれば、クライアント側がいつでも録画や録音にアクセスし、現場の状況を高い解像度で把握することが可能になりました。
その結果、外部でも録画や録音を納品物にすることで現場の改善や成功要因を踏まえた標準化が可能になり、業務品質の管理もしやすくなったのです。
当然、コロナ禍でWEB商談に移行し、正社員の営業組織でも同様のシステムを利用するケースが増えています。しかし、商談の録画や録音の共有に対する社員の抵抗感は強く、正社員組織ではなかなか浸透しないケースが多いと耳にします。
それに対して外部の即戦力活用の場合は、業界においてスタンダード化してきており、正社員よりも営業現場の解像度が上がったという事例も生まれています。