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そして本題の電子ピアノ「Privia」へと辿り着く
結局、CASIOの凄さをまざまざと体感する一日だった
そして本題の電子ピアノ「Privia」へと辿り着く
前置きが鬼ほど長くなってしまったが、ショールームの最奥でドーンっと待ち構えていたのが、今回の主役「Privia PX-S7000」だ。
CASIOはこれまで「カシオトーン」(1980年)を筆頭に、シンセサイザーや電子ピアノの「CELVIANO Grand Hybrid」(2015年)など、さまざまな電子楽器を販売してきたが、近年、最も開発に注力したといえるのがこの「Privia」だ。

まず見た目。北欧家具を想起させるトータルデザインが際立っていて、特に専用ペダルが一体となったスタンドに目がいく。木目が美しく、イサム・ノグチを彷彿とさせる雰囲気をまとっている。
洋室に限らず畳の敷かれた和室にも似合うだろうと、まず思った。シンプルモダンと言ってしまえばそれまでだが、畳でもフローリングでもカーペットでも“置く場面”をイメージできるのは、普遍的な作品に通づるものがあると思う。
サイズ感も重要なポイントだ。「Privia」のミニマルデザインは、解放的で圧迫感を与えない仕上がりとなっている。
全幅134㎝、本体奥行き24.2㎝、スタンド奥行き44.9㎝と、とにかく幅を取らない。もちろん、本体はスタンドから取り外してテーブルの上で弾くことだって可能だ。

また、色も重要。「PX-S7000」には写真のハーモニアスマスタードのほか、ブラックとホワイトをラインアップしているが、スタンドのカラーリングもそれぞれの色に合わせて設定されている。
自室のインテリアと楽器の調和を考えた際、選択肢があるのは嬉しい。存外、ハーモニアスマスタードは調和を考える上でオールマイティさがあるような気がしてくるから不思議だ。

聞けばハーモニアスマスタードは開発段階でヨーロッパのインテリアスタイルを参考に、さまざまなエビデンスを取った上で設定された色とのこと。
シンプルで余分な派手さを省きつつ、それでも生活を華やかにしてくれる印象がある。


デザイン性の高さでCASIOさんの底力を見せつけられたのだが、電子ピアノとして何より大切なのは、その音色。
ピアノ、ひいてはグランドピアノという楽器の特性を語る上で重要なのは、共鳴(レゾナンス)であるが、「Privia」は限りなくグランドピアノに近い音の響きを再現するため、鍵盤の素材にまでこだわって作られている。
新開発の「スマートハイブリッドハンマーアクション鍵盤」というシステムが搭載されているのだが、これはデジタル制御技術により鍵盤操作で発生する音の反応をコントロールするというもの。これによりグランドピアノのようなタッチが実現できたという。
グランドピアノと同様にハンマーの自重を利用した弾き心地は、88鍵デジタルスケーリング技術により、打鍵の強弱によりタッチ感の違いや音の大きさを変化させる。

白鍵の材質はグランドピアノに使用されるスプルース材と樹脂のハイブリッド構造で、表面の仕上げもこだわる。より自然な象牙調の質感を再現した。よくよく注目してみると、確かに手触りがちょうど良い。また黒鍵も黒檀に近い質感を目指しているという。
スピーカーは背面に独立駆動のフルレンジスピーカーを4つ設定。振動板には強化剤マイカを混ぜ込み、きめ細かくハリのある高音域を。
さらにボイスコイルの可動域を広げた内部構造により、豊かでゆとりある低音域を出力することが可能となった。これによりバランスが良く奥行きを感じるサウンドとなり、グランドピアノに近い臨場感で演奏が楽しめる。

実際に演奏するポジションに座り内蔵されているデモ音源を聴かせてもらったのだが、音がしっかり前から広がりを持って襲いかかってくるような印象を受けた。「とにかく音が良い!」一聴すればその一言に尽きるだろう。


音の響きの良さに驚いていると、さらに驚きの技術が搭載されていることを教えてもらった。
「マルチ・ディメンショナル・モーフィングAiR音源技術」で、世界的名器のグランドピアノの音色や数々のピアノからサンプリングして作ったバラエティ豊かな音色を搭載。アコースティックピアノだけでなく、有名なエレクトリックピアノなどを網羅しているのだ。
変な話、「あのミュージシャンのあの曲のイントロはこんなピアノの音色だったね」が自宅で楽しめるというわけ。


さらにプリアンプなどの回路特性を測定したデータを内蔵することで、その時の演奏に応じたそれぞれの楽器の反応を忠実に再現するという。もう、何が何だかわからない。
これらを可能にするのは大量のデータをリアルタイムで演算できる高性能なカスタムLSIのおかげ。さすが世界のCASIO。
結局、CASIOの凄さをまざまざと体感する一日だった

今回こうして本社ショールームでCASIOの歴史、技術力、イマジネーションを見学できたのはとても有意義な時間となった。
終始爽やかに案内してくれた広報の奥田さんや、楽器部門を担当する山﨑さんの明るくきめ細やかな説明、随所で的確なコメントをくれる楽器部門の有賀さん、御三方のおかげである。
時計につられてホイホイ訪れた筆者に対して、とても丁寧に対応いただいた御三方はたぶん天使。
ピアノは幼少期にわずかに齧った程度(実質、舐めた程度)で「きらきら星」すら満足に弾けもしないが、おしゃれでカッコよくて所有欲を満たしてくれる「Privia」、ちょっとどころか、かなり欲しくなってしまったのは言うまでもない。
近々、世田谷区成城にある「樫尾俊雄発明記念館」に行こうと決めた、そんな一日だったのだ。
【商品概要】
製品名:Privia PX-S7000
価 格:オープン価格
提供元・男の隠れ家デジタル
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