転職活動をしている人は「希望条件の実現」や「年収アップ」が叶うかどうかを見極めている傾向に
「転職活動をしている・した」人と、「転職検討中だが、何もしていない」人では、転職における年収の考え方の傾向が分かれました。
「転職活動をしている・した」人は、「希望条件が叶えば現年収から下がっても良い」「希望条件が叶わなくても年収が上がる事が優先」が比較的高く、「転職検討中だが、何もしていない」人は「すべての条件が叶わなければ転職はしたくない」という回答が比較的高い結果となりました。
実際に転職活動をしていく中で、自分自身が大切にしたい価値観が顕在化されやすいと言えそうです。

転職活動している人たちは、転職条件よりも転職後の環境を不安視する傾向に
「実際に転職をしている・した」人の転職に対する不安のトップ3に、「転職先の社風や風土が自分に合わないかもしれない」「新しい職場で良い人間関係が築けるか不安」があり、転職時の条件よりも、転職後の環境への不安が多い事が明らかになりました。
また、「実際に転職している・した」人に比べ、「転職検討中だが、何もしていない」人はほぼ全ての項目でスコアが高く、特に「年収が下がるかもしれない」事への不安が高い傾向がうかがえます。

転職活動している人が、転職サービスを選ぶ時に重視するのは「自身の条件にあった提案をしてくれるかどうか」
「実際に転職活動している・した」人が、転職サービスを選ぶ時に重視する項目は、「自分の条件にあった提案をしてくれるかどうか」に属する項目がトップ5の多くを占める結果となりました。
「サービスの知名度」よりも、「クチコミなど第三者からの情報が得られる」という項目が上位に来ていることも、転職後の不安解消やリスクヘッジという観点から重視されていることも分かります。

多くの求人票を掲載するだけではなく、転職サイトとしての「介在価値」の提供を求められていることが明らかに
転職活動をしている人に転職サービスに特に求める機能を聞いたところ、「ブラック企業など良くない求人が載っていないこと」が1位となりました。求職者は求人票に書かれている内容よりも、入社前には分かりづらい企業の実態に関する不安を解消してくれるような機能やサービスを求めていることがうかがえます。
多くの求人が掲載されていることは求職者にとって選択肢が広がるというメリットがある一方、求人票だけでは判断しづらく、実際は求職者にとって「避けたい求人」に出会うリスクも高まるため、転職サービス側で選別をするといった「介在価値」を求めているようです。

【考察コメント】 オープンワーク株式会社 代表取締役社長 大澤陽樹
今回3回目となる「Z世代&ミレニアル世代の転職活動に関する意識調査」は、コロナ禍による生活の変化・移り変わりを象徴するようなデータとなりました。
まず一つ目は、転職活動をしている人たちの数に回復傾向が見えたことです。年間の転職者数は、2019年に過去最高の351万人を記録しましたが、コロナとともに転職者数も減少し、昨年2021年は年間転職者数がリーマンショック後とほぼ同じ水準まで減少していました。それが、2022年に入り転職活動者の増加傾向という形で、転職市場の再活性化が見えてきたというのは大きな変化だと捉えています。
二つ目は、転職に興味を持っている人の中でも、「実際に転職活動をしている・した」人と、「興味はあるが、何もしていない」人では、転職に対して不安に思う点や、意識する点が異なるということです。
転職活動を始める前は、労働条件・年収ともに現職よりもより良いものを求めてしまう傾向にありますが、転職活動を進めるにつれ、完璧な会社は無いことに気づき、自分自身の中でどちらがより大切かを見出し、より自分に合う会社選びができるようになっていくのだと捉えています。
三つ目は、転職サイトに求められる機能価値が、リスク回避・軽減となる情報となるかどうかという点を見られている点です。転職というものがかなり一般化してきていますが、自身のキャリア形成において転職というのは大きな分岐点であることは変わりません。
その中で、求人票という企業からの情報だけでなく、クチコミなど信頼できる第三者情報を見ることによって、より具体的な企業実態をイメージし、自分自身が転職した後に活躍ができるかどうかをイメージできることが大切だという意識の高まりかと思います。
人材市場の中で長らく課題とされていた、企業と求職者の「情報の非対称性」を多面的な情報提供で解消することで、転職に伴うリスク軽減を促し、転職によってより良いキャリア形成の後押しができるサービスが求められていると捉えています。
経済産業省が推進する人的資本経営の考え方に、「企業が現状の職場環境について透明化された情報開示を行い、企業自体の組織変革を促す」、「現職社員や求職者が正しい情報を受け取り、不安なく労働環境を選べるようにする」、「人材流動性を上げ、経済市場全体が活性化することを目指す」といった内容が盛り込まれており、我々もその一助が担えるサービスに変革していかなければならないと感じています。
人的資本経営によってジョブマーケットの透明化がさらに進み、求職者のキャリア自律が促されていくことにより、「世界最低水準の働きがい」と言われる日本の労働市場が明るい方向に変化すること。より良い社会の実現のために、OpenWorkはこれからも情報の質にこだわり、「働く」データを蓄積することで労働市場を透明化する『working data platform』として進化を続けていきます。

大澤陽樹:東京大学大学院卒業後、リンクアンドモチベーション入社。中小ベンチャー企業向けの組織人事コンサルティング事業のマネジャーを経て、企画室室長に着任。新規事業の立ち上げや経営管理、人事を担当。2019年11月に当社取締役副社長に就任。2020年4月、当社代表取締役社長に就任。
提供元・観光経済新聞
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