オフィスをどう活用すべきか

先述のように、当社・ニットは東京にオフィスを構えています。日によってメンバーが変わるものの、4、5人ほどがオフィスで仕事をしています。空港からのアクセスも良好で、海外メンバーが帰国した際には、オフィスに足を運んでくれることもあります。

ニットのオフィスでは、フリーアドレスはもちろん、オンライン商談に最適な個別ブース、くつろげるリラックススペースを設置し、それぞれが仕事をしやすい環境を作りました。

オフィスの入口付近の壁には当社のビジョン・バリューを掲げ、企業理念のメンバー間での浸透を意識した設計にしています。

ただし、オフィス出社とリモートとのハイブリット勤務の場合には注意すべき点もあります。それは、情報量の格差を発生させないことです。

ニットは基本的にフルリモートで事業運営を行っています。オンライン会議をやる際は、オフィスにいるメンバーもみなオンラインでつなぐことで、オンライン⇔オフラインでの情報量の格差が発生しないような配慮をしています。

また、新人の場合は社内での関係性がまだ構築できていないため、ちょっとした相談がしづらいものです。そのため、「入社半年間はオフィス出社」など、一定のルールを設けるのも一つの策です。

出社して社長や同僚と顔を合わせ、そこから生まれる他愛のない会話により、心理的安全性も高まるでしょう。

さらに、同じ空間にいる先輩の営業電話を聞けたり、同期と悩みを共有できたり、「偶然の副産物」を得る機会がオフィスにはたくさんあります。その結果、メンバーの会社へのエンゲージメントが高まり、結果的に会社の成長スピードが早くなることが期待できます。

リモートワークの落とし穴

以上、当社が考えるフルリモートでもオフィスを持つことの役割とその活用事例についてご紹介しました。とはいえ、フルリモートを前提に創業した当社では、約500人のメンバーが日本全国・世界各国から業務にあたっているため、リモートワークが基本です。

また、ニットだけではなく、今や多くの企業が導入しているリモートワークですが、そこには見逃せないデメリットも潜んでいます。

①コミュニケーション不足に陥りやすい

対面であれば自然に生まれる仕事に関する些細な相談や、仕事以外の雑談が、リモートワークでは取りづらくなります。つまり、メンバーが抱えている問題に気づきにくくなるのです。

さらに、メンバー間の様子が視覚的に見えないことで、チームワーク・士気の低下を招くこともあるでしょう。

②他部署との連携が希薄になりやすい

オフィス勤務でも問題視されることもある他部署とのコミュニケーションの課題が、リモートワークではさらに深刻化する恐れがあります。

時間・場所が非同期で働くことが増え、他部署との情報収集の重複、情報共有の遅延、それによる決裁の遅れなど、仕事のスピード低下につながることも否めません。