本記事は株式会社ニットの代表取締役社長秋沢崇夫氏にご寄稿いただいたものです。

フルリモート組織があえてオフィスを持つ理由

リモートワークが普及し、在宅勤務やサテライトオフィス勤務など、場所にとらわれない働き方が一気に加速しました。

多くの業務がリモートワークで完結できることを知った今、「そもそもオフィスは本当に必要なのか?」「オフィスを有効活用するにはどうすればいいのか?」と考えている方もいらっしゃるでしょう。

オンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU(ヘルプユー)」を提供する当社・株式会社「ニット」は、完全リモートワークを前提に2015年に創業しました。サービス提供、事業運営はすべてフルリモートで行っていますが、当社は東京にオフィスも構えています。

リモートワークの浸透によりオフィスを持たない会社もある中、完全リモートワークであるニットがあえてオフィスを持ち続けるのには理由があります。

オフィスは単なる作業場ではない

それは、オフィスを「単に業務をする作業場」としてではなく、「組織にとって重要な役割を担う場所」であると考えているからです。私たちが考えるオフィスの役割は以下の4つの通りです。

①企業のビジョンやミッションの浸透

一つの組織で働くうえで、会社が目指すビジョンやミッションの共有は欠かせません。企業が何を目指し、今何に注力しているのかをメンバーが理解してこそ、パフォーマンスの最大化につなげることができます。

オフィスはその方向を示す存在として、企業理念や経営戦略などを発信したり、体感できたりする場所であるべきでしょう。

②メンバーのコミュニケーション円滑化

業務の中には、リモートではなくメンバー同士が集まり対面で行った方が効率がいいものもあります。たとえば、「新規事業の会議」「ブレストする会議」「キャリア面談」など。これらは、何気ない会話の中から、新しいアイデアやヒントが生まれてくることが多いものです。

メンバー同士が共に過ごすオフィス空間を設けていれば、そのようなコミュニケーションが自然と生まれます。そのためにも、オフィスはメンバーが自発的に「行きたい!」と思う空間にすることが大切です。

③対外的な信用価値向上

社外の方との打ち合わせ場所や、資料などの送付先、連絡先情報としてなど、事業を運営するうえで、固定オフィスの存在は有益です。また、採用においても、オンライン面接では伝わりづらい社内の雰囲気を、オフィスがあれば感じてもらうことができます。

ニットでは、最終面接や内定通知をオフィスで行うことで、社内の雰囲気や空気感を伝えています。それにより、企業としての信用度が増せば、面接者の入社動機の一因にもなり得ると考えているからです。

④自由な働き方の象徴

オフィス自体を、多様な働き方や、働きやすさのシンボルとすることもできます。

リモートワークだけではなく、「オフィス出社」という選択肢があることは、より柔軟な働き方を可能にします。「今日は人と会って仕事がしたい」「この業務はメンバー同士が対面で進めた方が効率的だ」など、自分の状況に合わせて働き方を選択できるようになります。