売上を減らそう

少し前「売上を減らそう」という書籍が大ヒットした。筆者も買ってみたが非常に内容が良かったし、この哲学にはとても共感できた。

売上を減らそうというのは2つの意味合いが込められている。1つ目は忙しくなりすぎることの弊害である。忙しくなりすぎると、どうしてもそこで働くワーカーへの負担が大きくなりすぎたり、商品サービスの質が行き届かなくなってしまう。「売上を減らして貧乏を楽しもう」という意味ではなく、「無理して売上を最大化しなければ、という強迫観念から卒業せよ」という提言に近い。

そして筆者はもう1つあると思っている。それは売れすぎてしまうと目立ってしまうためだ。ビジネスにおいて目立ちすぎると必ず一定数面倒事がやってくる。アンチ活動のサンドバッグになるのはまだかわいいものだが、それ以上に本気で足を引っ張ってこようとしたり犯罪に巻き込まれるといことは本当によく聞く話だ。

筆者の地元で成功している経営者と話をすると、たいてい過去に一度、二度は詐欺被害にあっている。ものすごく売上が伸びて地元で有名になると、詐欺やその他良からぬ勧誘が目に見えて増えたという。

「世界を変えるイノベーションに挑戦する!」「絶対に上場してやる!」といった大きな野望を持っている開拓者はどんどん目立つことを好む。だが自分と家族が経済的に一生困らない程度の小さな成功なら、影響力がゼロでも無名でも達成できてしまう。

個人資産を5億、10億持っている地元の社長はSNSやYouTubeの発信活動はまったくやっていないが、目立たないように静かにビジネスで成功している。もとい、影響力などは不要であり、招かれざる客に絡まれずに静かに自分の人生を楽しみたいという印象を受ける。あまりに目立つと敵が増える。静かな小さな成功者になるのも、一つの人生戦略としてアリかもしれない。

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