こんにちは医師&医療経済ジャーナリストの森田です。
先日、こちらの動画を見ました。
東京大学・免疫学の新田准教授による一般向けのコロナ&ワクチン解説です。
とてもわかりやすくて、しかも大事なことが盛りだくさんですので。ぜひご覧頂きたいのですが…、
とは言っても、かなり長いので簡単にポイント(特に後半のワクチン論文解説部分)をまとめますと、以下の3つでしょうか。
なぜかmRAを包んでいるLNP単独接種(=mRNAが入っていないワクチン)でもかなりの効果がある。 ワクチンでIgA(気道感染の主要免疫)は誘導されない ワクチン接種数日後はリンパ球が減少する(1週間で戻る)
どれも結構びっくりの内容ですが、中でも最後のワクチン接種数日後はリンパ球が減少する(1週間で戻る)は、個人的に非常に驚きでした。
ということで、タイトル通り今回はこの件について記事にしたいと思います。

Artur Plawgo/iStock
というのも、僕は「リンパ球減少」には苦い思いがあるのです。
研修医時代、免疫抑制剤によるリンパ球減少から「サイトメガロウイルス肺炎」にかかって亡くなってしまった患者さんのことを鮮明に覚えているからです。
サイトメガロウイルスやヘルペスウイルスは多くの人が体内に保有しているウイルスで、通常の免疫を保持しているときは免疫に抑えられて全く害をなさないのですが、リンパ球減少などの免疫低下状態になると突然顔を出し致死的な病態に陥ってしまいます。いわゆる「日和見感染」と言われるものです。
もちろん、サイトメガロウイルスが顔を出して来られるような免疫低下は通常は殆ど見られません。免疫抑制剤や抗がん剤、HIV感染などの特殊な状況下でのみ見られるものです。
で、なんとその免疫抑制状態(リンパ球減少)が、ワクチン接種後の1週間ほど、殆どの方に見られるということなのです。
それがこちらのグラフ(新田先生がご提示されたのもの)
日本語部分は新田先生が追加されたものですが、元データは、2020年のあの世界的科学誌「nature」に掲載された論文です。
COVID-19 vaccine BNT162b1 elicits human antibody and TH1 T cell responses
ワクチン接種2日後(Day 2)で大きくリンパ球が減少し、8日後(Day 8)でほぼ元通りに戻っています。
そのリンパ球減少の程度はかなり激しく、グラフではAIDS発症レベルまでの減少する例まで見られています(新田先生ご提示の青点線がAIDS発症レベル)。
なお、AIDS(後天性免疫不全症候群)はHIVウイルス感染によるものが有名ですが実はそれだけでなく、後天的(先天的ではなく)に免疫機能が著しく低下した状態の総称です。HIV以外でも起きます。
もちろんAIDSレベルまでのリンパ球減少はごく一部なのかもしれません。
しかし、データを見るとワクチン接種者後のリンパ球減少は例外なく全例で発症しているようで、おそらく接種者の全例でリンパ球が減少してしまえば、AIDSなど命取りの状態にまではならなくても、通常の感染症に感染しやすくなる(でもすぐに治る)程度のことが発生するかも?と考えるのが自然だと思います。
それを裏付けるような事実が2つあります。
1つは、日本の実際のワクチン接種とコロナ感染の関連です。
実は日本の生データを見ると、ワクチンを打った直後に感染が拡大しているのです(感染減少ではなく!)。
果たしてこれが偶然でしょうか?

藤川賢治氏の「医療統計情報通信研究所」HPより
2つ目は、ファイザーが発表した「95%効果あり」の、世界的医学誌NEJMの論文です。実はこれ、接種後1週間までは「抗体がまだ産生されていない」という理由?で多くが除外されていたのです。