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グラスルーフやリアガーニッシュ、キャビンデザインは最高!
世界初の電動パワステに、「ファラオラリー」での活躍も
グラスルーフやリアガーニッシュ、キャビンデザインは最高!
軽ボンネットバン全盛期の1980年代に作られたので、4ナンバーの商用車登録は当然ですが、前席を頂点になだらかに下がるルーフ、リアクォーターウィンドウを広く取らず、太いCピラーとしたキャビンのスポーティなデザインは個性的です。
スパッと潔く切り落としたようなテールゲートには、ボディまで回り込むリアスポイラーが標準で、ブリスター状に膨らむリアフェンダーと合わせてスピード感ある造形で、左右テールランプ間には横一面のリアガーニッシュが施され、特別感を与えています。
極めつけは前席頭上のグラスルーフで、濃い目のブロンズガラスにより直射日光を和らげつつもドライブ中の開放感があり、「これでドライブしたら楽しそうだな」と、ワクワクさせてくれそうです。
鉄板むき出しではなくフルトリム化されたインテリア、レモンイエローなど明るい色も使い、サイドサポートの張り出しが大きい専用シートは派手ですが、スペシャルティカーですからこのくらいのインパクトはむしろ歓迎できます。
ただしキャビンから前は1984年に発売された2代目アルトそのまま、「CERVO」マークの入るフロントグリルや、ナンバープレートを右に寄せ、いかにも冷気がよく入りそうな開口部が設けられたフロントバンパーも、ターボエンジンがないので形だけになっています。
搭載されるエンジンは軽自動車で初の1気筒4バルブSOHCを採用した、SOHC3気筒12バルブ版F5Bで、DOHC4バルブエンジンの2代目アルトツインカム12RSに匹敵する40馬力を発揮するも、燃料供給方式はEPI(電子制御燃料噴射)ではなくキャブレター式。
EPI式のSOHCインタークーラーターボや、アルトワークスで軽自動車初のDOHC4バルブインタークーラーターボを採用したスズキとは思えない思い切りの悪さで、新旧混在したチグハグさばかりが目立ちます。
これだけいい素材が揃っているのですから、せめてアルトワークスのDOHCターボが搭載されていれば、全く違う評価を受けたのではないでしょうか?
世界初の電動パワステに、「ファラオラリー」での活躍も
動力性能面では地味な3代目”横丁小町”セルボですが、内外装では充実していたほか、追加された「ごきげんパック」には世界初という電動パワーステアリングが搭載されました。
2000年代はじめまでは油圧パワステが当たり前、電動パワステは速度などで変化させるパワーアシストの電子制御に信頼性の面でまだ難があった装備です(1990年代のダイハツ車にも採用されましたが、制御コンピューターの突然死が定番トラブルだったほど)。
それでも、エンジンに負担を強いることのない電動パワステは小排気量車にとってありがたいものでしたし、操舵支援に欠かせないので運転支援システムの実用化に大きく貢献した装備ですが、横丁小町セルボはその最初の搭載車でした。
スズキ歴史館の展示車には、電動パワステ初装備の功績から、当時のスズキ社長、戸田 昌男氏が藍綬褒章(らんじゅほうしょう・公共の利益へ尽くした人に授与される)を受けたと書かれており、当時としてはそれだけ画期的な出来事だったようです。
また、1988年11月には、かつてダカールラリーの前哨戦として開催されていたラリーレイド、エジプトをスタートする「ファラオラリー」にも女性チーム「チーム・アンジェラ」から参戦。
グラスルーフはメタルルーフへ、エンジンはアルトワークス用のDOHCターボ版F5Aへ換装したフルタイム4WD仕様と、「横丁小町セルボの皮をかぶったアルトワークス仕様」だったようです。
出場2台中1台が完走してプロトタイプクラス総合31位、1000cc以下クラスでは(他に参加車がいたかは不明ですが)優勝だったそうで、おそらく国際ラリーで活躍した軽自動車としてはスバル ヴィヴィオより古く、最古の例ではないか?と言われています。
自動車史に残る功績も残した横丁小町セルボ、4代目「セルボ・モード」へのモデルチェンジでわずか2年半ちょっとの販売で終わらせるには非常に惜しく、ライバルのダイハツ リーザのように、660ccエンジンを積んでもう少し売ってほしかったものです。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・兵藤 忠彦/提供元・MOBY
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