なぜそんなことになっているかというと治安が悪いからです。子どもの連れ去りや誘拐が実に多いですし、街中には麻薬中毒患者などもいたりするのでとにかく治安が悪いのです。

例えばアメリカの場合、連邦捜査局(FBI)によれば、一年間に行方不明になる子どもの数はなんと76万5千人で、40秒に1人の子どもが行方不明になっています。日本で一年間に出生する子どもが86万人ですから、なんとそれに近い数の子どもが行方不明になっているのです。

しかし行方不明の子どもを救済する機関であるアメリカ連邦保安局が救済したのは、2005年から2020年の間でたったの1800人です。つまり多くの子どもが発見されないのです。

2020年8月には米南部ジョージア州で、3歳から17歳の行方不明の子ども39人が救出されましたが、性的な目的のための人身売買や児童労働搾取、性的虐待などのために誘拐された子ども達でした。

アメリカは児童虐待や子どもの行方不明に日本より遥かに敏感ですが、その背景にはこのような莫大な数の行方不明の子どもという実態があります。

これはアメリカの銃問題よりも遥かに深刻に思えますが、歴代大統領の中で、この問題を深刻に取り扱い、国民に呼びかけてきた人は実はトランプ大統領だけです。彼はマスコミではキワモノ扱いされてきましたが、児童保護に関しては他の大統領よりもずっと真剣でした。だからアメリカの田舎や、伝統的な価値観を重視する人々に支持されてきたのです。

日本の場合は国全体で行方不明になる人が一年間に8万7千人で、そのうち10代までの子どもは1万7千人ほどです。日本の場合は行方不明の人はほとんどが大人で、特に認知症の人が3万人ほどです。

平成30年における行方不明者の状況について(警察庁)

アメリカの人口は日本の二倍ほどですが、行方不明になる子どもの数は桁違いです。いかに治安が悪いか、親が目が話せないかということがよくわかるでしょう。

治安が悪いイギリスでも1970年代は子どもが一人で歩いて学校に行っていたのですが、80年代後半から90年代に子どもの誘拐や惨殺事件があったため、今や親がつきっきりで送り迎えをします。

共働きの親は、送り迎えを外注の子守の人に頼んだり、子どもの託児を小学校や幼稚園で夕方6時まで頼んで、仕事場から直行で迎えに行きます。残業や出張は相当やりくりが必要ですから、仕事のペースは落とさざるを得ません。

内閣府少子化克服戦略会議・参考資料

私立の場合はスクールバスで学校に行くこともあります。しかし国からの補助は一切ないのでバスの費用は高額です。公立はお金がないので親が徒歩で送り迎えします。

子どもが親と道を歩いていても、車やバイクが近くに来て力ずくで誘拐する事件が発生しています。我が家の近所でも年に何回も発生します。誘拐された子どもは殺されたり、他の国に連れて行かれるので見つからないことがあります。ですから、道を歩くときも気を許せません。

多くの親は子どもを車で送り迎えしていますから、学校近辺は車の渋滞、事故、排ガスが社会問題になっています。毎日の送り迎えで気が立った親同士の殴り合いや事故も少なくありません。

子どもだけの集団登校や、子どもだけで塾に行くことはありません。

アメリカもそうですが、イギリスや欧州大陸でも子どもが中学生ぐらいになるまでは、子どもだけで留守番をさせたり車の中に放置することは違法です。通報されてしまうのです。

子どもに自由がある日本がどれだけ恵まれているかおわかりでしょうか?