コロナ禍から現在の外国人販売員事情

売手も買手も消えた「中国」

新型コロナウィルスが蔓延し始めた2020年3月頃から中国人販売員の退職や帰国、インバウンド減少による契約満了のため、500名ほど派遣していた中国人販売員も1年後の2021年3月時点で50名程度まで減っていました。

通訳だけでは立ち行かない現状もあり、再雇用に向けた取り組みが必要となりました。

雇用を継続するための取り組み

新型コロナウィルス蔓延で中国インバウンド需要が減った中でも、契約を更新できるよう派遣先企業と連携を取り、雇用を継続していただいたケースもありました。

目に見えているインバウンドの減少に固執せず、今いる日本人客にどのように接客するかを考えることで雇用を継続いただけたケースもありました。

まず、中国人販売員向けに日本人に対する接客マインド研修を実施いたしました。今まで彼らが対応してきたインバウンド客と日本人客の違いとマインドチェンジをする必要がありました。

【中国インバウンドの特徴】

・購入するものが決まっている

・店舗滞在時間を決めている

・予算が明確

【日本人の特徴】

・商品を見ているだけで購入するとは限らない

・検討する時間がほしい

・予算があいまい

中国インバウンドの場合は、購入するものが決まっているのでほかの製品との性能や機能の違いを説明できれば必要な商品を購入していかれることが多いです。したがって、あまりたくさんの説明はかえって成約に結びつかないことがあるので、説明は最低限にとどめておく必要があります。

対して日本人は、落ち着いた接客を好まれる傾向にあるので、買わないからと言って中国人販売員が勘違いされがちな、日本人にとってのそっけない態度にならないよう指導をして、お客様が商品を買わなくてもよい印象で終われるよう、お戻り成約を意識した立ち振る舞いを指導しました。

また、インバウンドのもう1つの特徴として、予算も無限に用意しているわけではなく、ある程度商品ごとに予算を組んで来店されることが多く、いわゆる衝動買いが少ないことが挙げられます。

対して日本人は、予算があいまいなことが多く、「この商品ほしい!」となればある程度の予算も許していただけることもあります。

そのためにもしっかりと検討してもらうことが必要なのです。

日本人は、製品の性能、機能性、対応してくれた販売員の接客、店舗の雰囲気、総合的に見て、買ってもいいかな?と判断します。だからこそ、販売員の適切な接客態度は日本で接客販売をする上で必要なスキルなのです。

そして、最後に中国人販売員達に伝えたのは、時節柄日本人のお客様の中には、中国人を嫌がる方も間違いなくいらっしゃるので、ショックを受けすぎず、日本人へ接客をしていくということでした。

派遣先企業へもお客様の希望に合わせて、日本人スタッフへ接客の交代できるようにお願いをしました。当社では中国人スタッフへの心的配慮と派遣先企業へ理解を得ることで、継続的に派遣を行うことができました。

入国規制緩和で変化し始めた「主役」、隠れている中国インバウンド

入国者数の上限が撤廃された2022年10月以降、徐々に中国語が小売の売場で飛び交うようになっています。

それに伴い、決して多いとは言えませんが、通訳販売員の手配のご依頼をいただくようになりました。しかし、インバウンドの「主役」だった中国は、一部の富裕層だけで以前のような勢いは感じません。

代わりに現在の新たな「主役」になっているのが台湾です。

当社から就業中の派遣スタッフに話を聞くと、今回の台湾インバウンドは、コロナ前に日本によく遊びに来ていた方が多いという特徴を口にしています。

中国政府の渡航制限や春節の民族大移動など中国インバウンドの動向が読みづらい点もありますが、台湾からの集客も大きく増えています。それゆえに、私は日本での彼らの買い物を期待しています。

そこで、中国語通訳販売員を採用することは、小売業界として実績回復に大きなメリットになります。

当社では、外国籍スタッフのビザを包括的にサポートしています。就労制限のあるビザから制限のないビザへの更新に必要な書類を用意したり、在留資格について詳しくないスタッフに関しては本人に代わり出入国在留管理局へ確認をしたりとビザサポートを行い、短期ではなく長期的にスタッフが定着できるようサポートをしています。

急なインバウンド対応が必要な時は、派遣という手段も検討してはいかがでしょうか。


著者プロフィール

岩村広一朗

株式会社フィールドサーブジャパン 営業第3グループ 営業サポート室

2015年より、家電量販店メーカー販売員にて外資系家電メーカーの販売員を経て、2018年より(株)フィールドサーブジャパンへ営業職として入社、外資系家電メーカーの人材派遣やアウトソーシングを経て、2022年から現職と広報を兼任。小売業界への販売員・コールセンターオペレーターの人材派遣、中国語をはじめとした外国語通訳販売員の派遣を行っている。