圧倒的優位性がある時、人は残酷になる
そしてもう1つは自分に圧倒的と言えるほどに立場の優位性を得た時、人はとても残酷になると思っている。
これはスタンフォード監獄実験として知られる、あまりにも有名な話に留まらない。立場の弱いお店の店員さんや駅員さんに対して、高圧的暴力的な態度で挑む人の話は誰しも聞いたことがあるはずだ。
「自分は立場が強く、相手は逆らえない弱い立場」という状況に置かれた時、一部の人の中で嗜虐的な目覚めが起き相手を痛めつけて憂さ晴らしをしてしまう。人間としてこれほど醜い本性を見ることは滅多にないが、これは企業や学校でもパワハラやイジメなど人間社会においてはあらゆる文化圏においても一定数発生しうる。一部の人間が持つ機能性に近い存在と認める他はないだろう。その存在は認めつつも、その欲求にストレートに迎合する意志力の薄弱さをその人の本性として観察することが可能である。
よく女性が男性とデートしていて、店員さんに態度が悪い様子を見ると覚めてしまうという話があるが、これは極めて納得感のある合理的判断と言える。そのような男性は理性のタガが弱まるタイミングで、間違いなく相手の女性にも同じような態度に出ることは明確だからだ。逆にそうならない理由を見つけ、否定根拠を集めることは難しい。早々に関係を切ることは自己防衛の観点からも極めて合理的である。
自分は女性ではないが、同じ感覚を持っている。立場の弱い第3者に偉そうな態度を取る人物は、本能レベルで絶対に関わり合いになりたくないと感じるのでこれはよく理解できる。一部の人は自分より圧倒的に強い立場を得ると、隠しきれない加虐的本性を出してしまうのだ。
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人間の本性はじっと観察すると、細かい点に現れる。そしてその顕在化するタイミングはだいたい決まっている。バレていないと思っているのは本人だけであり、人の目は存外節穴でもない。分かる人にはわかってしまうのである。
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