“傷つけずに無力化できる戦力”

記事冒頭で触れた核兵器のような抑止力と異なり、サイバー戦の能力を備えることには、「直接的に生身の相手を傷つけずして相手を無力化しうる」という意義があります。

アインシュタインと同時代の物理学者たちが「自分たちが開発に関わった兵器が多くの人命を奪う結果につながってしまった」ことに胸を痛めたことに比べれば、サイバー戦に関わる人材は「人間を傷つけることへの葛藤」に悩む必要はないでしょう。

日本としての安全保障はもちろんのこと、企業をめぐるサイバーセキュリティの分野においても可能な限り多くの人材が参加することが望まれます。

(繰り返しになってしまいますが)長期間の訓練を受けたプロフェッショナルの専門人材ももちろん必要である一方で、「本業は他にあるけれどサイバーセキュリティについても少し知見がある人材」を増やしていくことが必要です。

また、サイバーセキュリティについて学んだ人材が全員「積極的にサイバー戦へ参加できるだけの実力」を身に付ける必要があるわけでもありません。

たとえば「その人自身が企業の情報窃取などを狙ったウイルスメールなどを開いてしまって、サイバーセキュリティ上の弱点となってしまう」というような事態を防げるというだけでも、「たくさんの“素人”にサイバーセキュリティについての知識を学んでもらう」ことには意義があるのです。

もしサイバーセキュリティの分野にご興味があれば、記事中でもご紹介したように、未経験の社会人でも一から学べるコースを提供している機関もありますので、この機会にサイバー人材への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。