一カ月にならすと29万円だ。個人的にはけっして悪くない金額だと思う。毎日外食したら、子供を私立学校に入学させたら、年収の5倍の住宅ローンなんぞ組んだら、お金はいくらあっても足りなくなる。「和三盆ほうじ茶フラペチーノ」なんて飲んだことはない。

百均の利用はあまりお勧めはしたくないが、そこでも必要最低限のものを買うようにすればいいのではなかろうか。お笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さんや黒坂岳央さんの言うように、お金持ちエリアほどゴミは少ない、所得と家庭ゴミの量は反比例するということだろうか。

平均年収が下がってきていることより、日本人のお金の使い方について、非常に考えらさせられる書物であった。「中間層」が完全崩壊したのが問題というより、もともとあったかどうかも怪しい「中流意識」幻想を追い続けているのが問題なのではなのだろうか。

読んでいると教育費や住居費をかけすぎてるとか労基法が守られていないとかそういった年収以外の問題のほうが根深いように思える。

最初に出てくる自治体の非正規職員の30代の女性は年収348万円だが、世帯年収は1000万円だという。

これは私が見たことだが、役所で年収300万円の非正規の女性職員がエクセルを使ってバリバリ経理作業をしているのに、となりで年収900万円の正規のおじさんがテプラをポチポチ打っている(せめてパソコンでデータを流し込んでくれ)光景を見ると、たしかに病んで散在したくなる気持ちもわかるのだ。

443万円は平均年収なので、正社員は508万円、正社員以外は198万円と大きな差が出るらしい。こちらのほうが少子化の問題などに直接つながっているのではないだろうか。賃金の絶対額というより、人々は疎外感によって社会に対して委縮しているはずだから。