人間関係も「魅力」でしか継続し得ない
これをいうととても冷徹でビジネスライクな発言と思われてしまいそうだが、筆者は究極的には人間関係さえも「魅力」を持つ者同士でしか継続し得ないと思っている。
ビジネスの関係とはすなわち、価値交換がその本質となっている。身近な例で言えばコンビニは利用客との間で利便性や商品と金銭を等価値交換する空間である。BtoB、BtoC、CtoCでも何でも同じだ。片方だけが得をするという関係性はあり得ず、日本においては金銭と商品サービスとの交換が原則となっている。
翻って人間関係においてもこの原則は生きると思っている。人間関係においては、商品サービスと金銭との交換ではないが、その代わりに「一緒にいてホッとする優しさ」とか「こちらの話をちゃんと聞いて共感や的確なアドバイスをくれる」といったような人心交流が基本である。しかし、これが継続するケースはビジネスと同じく、等価交換が成立する場合に限られるだろう(親子や親族は除く)。
たとえば相手は一方的に話をするが、こちらの話をまったく聞いてくれないとか、いつも不快なマウンティングばかりしてくるということなら、その関係性は続かないだろう。相応に魅力を感じる場合にのみ、人間関係は継続し得るのだ。
人間関係が終わる時人間関係は永遠ではない。双方、どちらかが相手にとっての魅力を提供できなくなった時に終焉を迎えるのである。
たとえば「価値観の不一致」が挙げられる。人間は「生まれ持った性格」はそう簡単に変わらない一方で、「価値観」は人生経験でいくらでも変わる。たとえばせっかちな人は一度、大きな自動車事故を起こせば普段はせっかちでも少なくとも運転中は落ち着いて運転するような価値観に変わる事はありえる。
話を戻すが若い頃に話があう者同士でも、その後の人生経験で価値観が大きく変化したことで、理解共通性を失ってしまえばお互いに魅力の等価交換は難しくなってしまう。この場合は冷たいようだが改善は難しいため、no deal、すなわち撤退しかない。
筆者はこれを過去に何度も経験した。小学校の時はとても中の良かったクラスメイトに久しぶりにあって食事をしたが、全然話が噛み合わないといった具合である。もちろん、必ずしも相手側の問題というわけでなく自分の都合に起因する問題もあり得ることを忘れてはいけない。
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人間関係は相手を魅力でしか縛ることはできない。つまり、(あくまで相手にとって)魅力を失えばもはや縛ることはできなくなるということなのだ。そう考えると人間関係とは、本当に薄氷を歩くような関係性で成り立っているものだと思わされるのである。
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