オープン・ドアーズのオーストリア代表クルト・イグラー氏は、「信教の自由に対する迫害と侵害は、かつてないほど深刻であり、私たちを悩ませている。過去30年間、指数は、基本的権利に対するあらゆる種類の攻撃にさらされている何百万人ものキリスト教徒の状況に注目を集めてきた。ワールドウォッチリストにより、支援を最も必要としている人々に的を絞ることが可能になった」と説明し、西側諸国政府に「信教の自由」の擁護のために取り組みを強化するよう呼びかけている。

世界迫害指数によると、北朝鮮はアフガニスタンを抜いて不名誉なトップの座を占めた。北朝鮮は世界で最悪の「宗教弾圧国」だ。オープン・ドアーズによると、北朝鮮は今年98点を獲得し、文書化が開始されて以来最高となった。これは、とりわけ、新しい「反動思想に対する法律」の導入によるものであり、多くの家庭教会が発見され、キリスト教徒が逮捕された。逮捕とは、政治犯のための残酷な収容所の1つでの処刑または生活を意味し、収容者はほとんど食べ物がなく、拷問を受け、性暴力を経験している。

北のクリスチャンの1人は「北では1990年代、飢餓が席巻していた。食べるものがなく、路上では多くの人が飢えで亡くなった。路上の亡くなった人を見て、生きている人は『彼らはもはや飢えで苦しむことがない』と羨ましく思った。それほど飢餓は激しかった。そのような中で、キリスト者たちは生き延びていかざるを得なかった」と証言している(「北のクリスチャンの『祈り方』」2015年9月21日参考)。

サハラ以南のアフリカの状況は特に危機的だ。これらの国々は現在、ナイジェリア(6位)に端を発した宗教的動機による暴力の波に見舞われている。ブルキナファソ(23位)、カメルーン(45位)、マリ(17位)、ニジェール(28位)などの国でも、キリスト教徒は大規模な脅迫と迫害を受けている。ナイジェリアだけでも、宗教的な動機による殺人の数は、昨年の4650件から5014件に増加した。これは、国際的な合計の89%に相当する。

参考までに、中国は2019年のWVIリストでは27位だったが、23年には16位に上がっている。新型コロナウイルスの感染拡大後、中国国内でのクリスチャン迫害が激化しているわけだ。オープン・ドアーズの年次報告は習近平国家主席時代に入って中国で宗教弾圧が強化されていることを示している。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年1月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。