「人生100年時代」が到来すると言われる中、今は働き盛りの40代であっても、老後の生活資金を心配している人は少なくないはずだ。その中には、いずれ入る退職金の額を気にしている人もいるだろう。サラリーマンの平均的な退職金は、いくらくらいなのだろうか。

定年で退職する場合の企業規模別平均退職金額

定年で退職する場合の企業規模別の退職金の平均額や、学歴別の平均額、勤続年数別の平均額、業種別の退職金ランキングなどを紹介しよう。

まずは、企業規模別の平均額から。参考にしたのは、厚生労働省が毎年実施している「就労条件総合調査」だ。この調査では、5年ごとに「退職給付(一時金・年金)の支給実態」も調べている。ここでは、2018年の支給実態の調査結果のデータを紹介する。

企業規模 平均退職金額
1,000人以上 1,144万〜2,233万円
300〜999人 1,173万〜1,825万円
100人〜299人 722万〜1,605万円
30〜99人 567万〜1,407万円
※出典:「平成30年就労条件総合調査」

上記の表から、企業規模が大きいほうが支給金額も大きいことがわかる。平均額に幅があるのは、平均勤続年数や学歴などによって退職金の平均額に差があるからだ。

業種別の退職金ランキング

次は、業種別の平均退職金額ランキング。このランキングは、厚生労働省の外局である中央労働委員会による「退職金、年金及び定年制事情調査」の2019年版をもとに作成した。1位は「石油」の1,746万円。

業種 平均退職金額
石油 1,746万円
非鉄金属 1,744万円
百貨店・スーパー 1,737万円
新聞・放送 1,457万円
鉱業 1,225万円
食品・たばこ 1,209万円
化学 1,114万円
電力 1,110万円
窯業・土石製品 1,100万円
商事 1,089万円
私鉄・バス 1,078万円
造船 854万円
電気機器 844万円
製鉄・製鋼 822万円
パルプ・製紙 814万円
機械 737万円
ホテル・旅行 729万円
建設 685万円
銀行・保険 678万円
海運・倉庫 394万円
繊維 360万円
車輌・自動車 347万円
※出典:「令和元年 退職金、年金及び定年制事情調査」

退職金は減少傾向に

老後2,000万円問題が話題になって久しいが、そうした折退職金が1,000万円も減少しているという話がある。どういったことだろうか。

退職金が減っている理由のひとつに「企業の退職給付制度の変化」が挙げられる。マイナス金利政策の長期化により運用自体がうまくいかないこと、転職をする人が増え、ひとつの企業に長くとどまる人が減っていることなど要因はさまざまだ。そもそも退職金自体無いという企業も少なくない。

退職金の受け取り方は2つ

退職金は一度に受け取るのではなく、年金として分割で受け取ることも可能だ。

ただし、その場合は「雑所得」の公的年金扱いとなり、他の収入と一緒に合算されて税率が算出される総合課税となる。退職金に対する税金面の優遇措置はなく、その代わりに公的年金等控除を受けられる。

一括で受け取る場合と年金で受け取る場合のどちらがトータルな税額が安くなるのかは、公的年金等の受取額によって異なってくる。退職が近づいてきた段階でその時点での税額表を参照し、どちらがよりお得か検討するといいだろう。

勤め先の退職金の規定もしっかり確認しよう

自分がもらえる退職金のおおまかな金額を知っておけば、老後のための資産運用の計画を立てやすい。なお、この記事で紹介したのはあくまでも平均的な金額なので、勤務先の退職金に関する規定をしっかり確認してほしい。

文・MONEY TIMES編集部