飲食業界は平均年収があまり高くない業界として知られており、銀行や商社などと比べると100万円以上の差があることも珍しくない。しかし、飲食業界においても平均年収が高い企業は存在する。今回は回転寿司チェーンとコーヒーチェーンに焦点を当て、平均年収ランキングを紹介していこう。

回転寿司チェーン業界の平均年収ランキング

回転寿司の大手チェーンと言えば、「スシロー」「くら寿司」「かっぱ寿司」「元気寿司」が挙げられる。まずは、これらのチェーンを展開する企業の平均年収を比較してみよう。

スシローは「株式会社FOOD & LIFE COMPANIES」(2021年4月1日にスシローグローバルホールディングスから変更)、くら寿司は「くら寿司株式会社」、かっぱ寿司は「カッパ・クリエイト株式会社」、元気寿司は「元気寿司株式会社」が運営している。

各社が会計年度ごとに発表する有価証券報告書の「従業員の状況」を参照すれば、各社の従業員の平均年収がわかる。

<回転寿司チェーン業界の平均年収ランキング>
順位 企業名 平均年収 時期
1位 FOOD & LIFE COMPANIES 865万2,020円 2022年9月末時点
2位 元気寿司 495万6,709円 2022年3月末時点
3位 くら寿司 453万6,011円 2021年10月末時点
4位 カッパ・クリエイト 417万0,399円 2022年3月末時点
出典:各社の有価証券報告書

4社の中で圧倒的に平均年収が高かったのは、FOOD & LIFE COMPANIES(865万2,020円)だった。2位の元気寿司(495万6,709円)に370万円近く差をつけており、回転寿司チェーンにおいて群を抜いていることがわかる。

元気寿司、カッパ・クリエイト、くら寿司は、ともに400万円台だ。

コーヒーチェーン業界の平均年収ランキング

コーヒーチェーン業界の平均年収ランキングを紹介するが、基本的に上場企業でなければ平均年収はわからない。上場企業であれば、有価証券報告書に平均年収が記載されている。

コーヒーチェーン業界で上場しているのは、「コメダ珈琲店」を展開するコメダホールディングス、「サンマルクカフェ」を展開するサンマルクホールディングス、「ドドール」を展開するドトール・日レスホールディングスなどだ。

1,600店舗以上を展開する業界最大手のスターバックスコーヒーは、以前は日本で上場していたが現在は株式を公開していない。そのため、以下のランキングではスターバックスコーヒーが上場していた時の最後の有価証券報告書から、平均年収を参考値として抜粋した。

では、コーヒーチェーン業界の平均年収ランキングを見てみよう。

<平均年収ランキング>
順位 企業名 平均年収 時期
1位 コメダホールディングス 956万9,000円 2022年2月末時点
2位 サンマルクホールディング 684万3,737円 2022年3月末時点
(参考) スターバックスコーヒージャパン 545万7,758円 2014年3月末時点
3位 ドトール・日レスホールディングス 513万4,000円 2022年2月末時点
4位 銀座ルノアール 448万8,358円 2022年3月末時点

平均年収ランキングのトップは、コメダホールディングスだ。平均年収は956万9,000円で、5社の中では圧倒的に高い。

ただし、この数字は注意して読み解く必要がある。コメダホールディングスは持株会社であり、従業員数はわずか8人だ。この8人の平均年収が900万円ということであり、コメダ珈琲店で働く従業員の年収を含めて計算されたものではない。

他のホールディングス企業にも同じことがいえるので、覚えておこう。

2位はサンマルクホールディングだ。平均年収は約684万円で、従業員数は67人。コメダホールディングスの従業員数が8人であることを考えると、就職・転職を狙うならサンマルクホールディングスのほうが難易度は低そうだ。

飲食業界でも高年収は狙える?

飲食業界は全体として年収が低いイメージを持つ人もいるだろう。しかし、業界トップ企業になると話は別だということがわかっていただけたと思う。企業によってかなり年収に差があるため、就職や転職を考える際にはよく検討することをおすすめする。

文・MONEY TIMES編集部