大本営、日本銀行の統帥権は黒田東彦総裁にあり。
昨日開催された日銀の定例金融政策決定会合は会合出席者全員一致で大規模金融緩和策の維持を決めたとあります。全員一致、というのが大本営と言わしめた理由です。今回のように外圧(外国からのマネー)が長期国債を売る動きに対して日銀が毎日数兆円規模の国債を購入しながら防戦をしているのは戦争末期の総力戦を想起します。なぜ、会合で喧々諤々の議論にならなかったのでしょうか?日銀の政策委員は誰一人、他の案を持たず、統帥権者の黒田総裁にイエスマンだったのでしょうか?

黒田日銀総裁の任期はあとわずか abzee/iStock
実は今回の日銀の政策決定会合は始まる前からおかしな雰囲気がありました。金融機関関係者がほぼ一致した意見で「政策変更はない」と予想していたからです。私は北米でアメリカやカナダの政策決定の行方を毎回、見続けているわけですが、会合では様々な議論が出てその中で最適解を発表します。のちに公表される議事録の内容も様々な意見が出ていることはよくわかります。
今回の政策会合の注目度は極めて高く、その行方には高い関心が寄せられていました。各紙ともYCC(イールドカーブコントロール)の拡大や更なる緩和ケース、あるいは現状維持の場合の株価や為替動向のシナリオがずらり並んでいました。そのシナリオケースのうち、現状維持の場合、円は大きく買われ、銀行株は売られ、それ以外の株は買われるとありました。
結果をみると銀行株は水曜日の発表時に5%程度急落したもののその後、急速な買い戻しとなり、前日比で少しだけ下落した程度に留まりました。為替は発表直後にそれまでの128円前半からだったものが一気に131円台半ばまで円安になります。1時間でほぼ3円の動きです。ところが、ここから円高に振れてきており、本稿を書いているNY時間昼頃で128円台前半とすっかり元に戻ってしまっているのです。