北朝鮮は18日、全米を射程内に置く新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射試験を行った。同国国営の「朝鮮中央通信」(KCNA)が19日報じた。ICBMは北海道渡島大島西方沖約200キロの日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。

大陸間弾道ミサイル発射場を視察する金正恩総書記と長女(2022年11月18日、時事通信のKCNAの写真から)
日韓の軍事関係者によると、ミサイルは最高高度6040キロまで上昇し、999.2キロの距離を約69分間飛行したという。KCNAによると、同ミサイル発射の現場には金正恩総書記が立ち合い、李雪主夫人と長女が同行していたという。
金正恩総書記は、「わが国の核戦力はいかなる核の脅威にも抑止できる最強の能力を確保した。敵が脅威を与え続けるなら、核には核で、正面対決には正面対決で応えるだろう」と述べ、米国やその同盟国をけん制したという。
「火星17は車軸が11軸ある移動式発射台で運ばれてきた。弾頭部も複数の核弾頭を搭載できる形状」という。なお、「火星17」は今月3日にも発射して2段目の分離に失敗したが、今回は成功した。北側のミサイル開発技術が短期間にアップしたことを裏付けている(以上、時事通信を参考)。
ところで、北朝鮮メディアは金正恩総書記と同行する家族を写真で報じた。金正恩氏の娘「金ジュエ」の写真が公に報じられたのは今回が初めて、ということから、いつものようにさまざまな憶測が流れている。金正恩氏には3人の子供がいるといわれている。
そこで、「なぜ金正恩氏は火星17の発射実験の場に妻ばかりか娘も同行させたのか」を読者と一緒に考えてみたい。
家族一同の記念写真を大陸間弾頭ミサイルを背景にして撮影する、といった発想は尋常ではない。金正恩氏は李夫人と家庭をもち始めた頃、夫人と共に綾羅人民遊園地の完成式に参加したり、平壌中央動物園を改修した。それだけではない。家族でウィンタースポーツを楽しむために馬息嶺スキー場まで作った。独裁者の金正恩氏は愛妻家であり、子煩悩であることはほぼ間違いない(金夫妻には3人の子供がいるといわれる)。
しかし、今回の写真の書割は米国も恐れるICBMだ。たとえ、子供が「お父さんの自慢のミサイルを1度見たい」と願ったとしても簡単に「そうか」と快諾できない。危険が伴う上、子供にとってその轟音はあまりにも刺激的過ぎるからだ(「北の『遊園地と国民経済』の改革」2012年7月28日参考)。