本音はトラブルの元

ここからは本音で生きるべきでないデメリットを考えたい。

まず1つ目に恨みを買うためだ。思っていても黙っておけばいいことをわざわざ口に出すことで、必ず一定数敵を作る。生きていれば確実に一定の人から好かれ、そして嫌われてしまう。それが人間関係の真理であり、嫌われること自体は受け入れるしかない。問題は嫌われるを通り越して恨まれてしまうケースだ。これだけは絶対に避けるべきである。

たとえば相手のコンプレックスや深い悩みについて本音でありのまま伝えてしまったとする。そうなると相手から深い恨みを買ってしまうことはよく聞く話だ。恨みは時間をおいても覚めることはなく、人によっては醸成された復讐心を実際の行動に移すケースもある。たまにニュースになっているのを見れば、この話があながちでまかせでないことを状況証拠が示してくれているだろう。誰かに嫌われても、恨みは買うべきではない。恨みを買いそうな局面であえて本音を出すことはとてもリスキーである。

次に感情に根ざした本音はトラブルの元になるという話だ。怒りの感情が湧いた時に素直に従えば、自分の怒りを作った相手に誹謗中傷をして自らの身を滅ぼしたり、そこまでいかなくても嫌味を言ったりしてしまう。

だが人の感情ほど適当であてにならないものはない。嫌いだと思っていた相手から笑顔で挨拶されたら、嫌いという感情が雲散霧消するというのはよくある話だ。そんなあてにならない、水物でしかない感情に素直に耳を傾け、ありのまますべて本音で接するなら当然、対人関係でのトラブルにしかならないのは明白である。

誤解してもらいたくないのは、筆者は「何でもかんでも本音を抑圧して窮屈に生きよ」といっているわけではない。言うべき局面ではしっかり本音で伝えるべきだし、逆に品性を持って本音を抑える局面もあるはずだという使い分けの話である。

「とにかく本音で生きろ」という提言を真に受け、何でもかんでもすべて本音だと逆に人生は生きづらくなると思うのだ。

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