アントニオ・グテーレス国連事務総長は16日、ウクライナ東部ドニプロの集合住宅で多数が死傷したロシア軍のミサイル攻撃について、「民間人や民間インフラへの攻撃は国際人道法違反だ」と非難したが、ロシアの国際法違反は今回が初めてではない。主権国家ウクライナに軍を派遣して攻撃を加えること自体が明らかに国際法違反だ。ロシアのプーチン大統領がロシア軍をウクライナに侵攻させてから2月24日で1年目を迎えるが、今のところ停戦の見通しはない。それどころか、ロシア軍とウクライナ軍の戦闘はエスカレートし、激しさを増してきた。

独製攻撃用戦車レオパルト2(Wikipediaから)

軍事大国ロシアに攻撃されるウクライナを支援するため約50カ国余りの国がさまざまな援助を行ってきたが、戦争の激化に伴い、ここにきて重火器の支援がテーマとなってきた。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は16日夜、慣例のビデオ演説の中で、工業都市ドニプロへのロケット弾攻撃を受けて西側諸国に重火器の提供を要請し、いち早く14台の主力戦車「チャレンジャー2」をキーウに引き渡すと発表したスナク首相の英国政府を称賛し、「新しいウクライナ防衛支援協定が発表された。ウクライナがいま必要としているものは、主力戦車、装甲車両、大砲だ」と述べている。

スイスで16日、世界経済フォーラム(通称ダボス会議)が開催され、20日には「ウクライナ防衛コンタクトグループ会議」が独南西部のラムシュタインの米空軍基地で開かれる。米国からはオースティン国防長官が参加する。そこでのテーマはウクライナへの武器供与問題だ。特に、年末から年始にかけ、ロシア軍がドンバス、特にバフムトとソレダーの都市周辺だけではなく、ウクライナ南部にも兵力を集中させている。ロシア軍は戦争で主導権を握ろうとしている。セレンスキー大統領は、「ロシア軍は新たな攻勢を計画している」と警戒している。それだけに、欧米諸国からの兵力補給が急務となるわけだ。