「③実行の動機付けと進行管理」の確認の仕方/伝え方
これは実際の組織やチームをどう動かしてきたかについてで、特に経営者はこの部分には強く興味を持っていますし、実際の採用要件で確認ポイントとして明示されているケースも多いので、比較的転職候補者の意識にも上がっていると思います。
ポイントは「コミュニケーション」と「コミットメント」。
リーダーとしてどのような働きかけや動機付けをメンバーたちにしてきたか。どのようなマネジメント、業務管理をしてきたか。目標達成のためにどんな動機付けと進行管理の工夫や試行錯誤をしてきているか。
そのスタイルが御社の求めるスタイルと合致しているかを、しっかり確認しましょう。案外、この部分でのズレが、入社後のお互いの違和感につながるケースは多くみられますので、要注意です。
転職ご相談者の皆さんには、ファクトベースで具体的に職務経歴書に記述し、面接時に話せるよう棚卸しをしておきましょう。
当たり前すぎることですが、これを通じて、何としてでもその時々の組織・チーム目標を達成しようとしてきたか、極力達成(ハイ達成)してきたか。それこそが最も伝えるべきことであり、応募先企業の経営者から問われることです。
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幹部・エグゼクティブクラスの方で、経歴や専門性・スキルにおいて遜色ないのに、なぜか最終的に「よし、採用しよう」と思えない人は、突き詰めるとこの3つのいずれかについて、<見えない・期待できない・不安がある>のが原因です。
経営幹部・エグゼクティブの採用において、この部分は絶対に妥協してはなりません。
そういう意味では、転職ご相談者の皆さんには、転職以前のこととして日頃のご自身の働き方〜マネジメントスタイルやリーダーシップの発揮の仕方についての確認とバージョンアップが生涯欠かせません。
上に行けば行くほど、現場とオフサイトとで挑戦し、試し、結果を検証し、学びのサイクルをより多く、より早く回し続ける必要があります。そのためにも日々の生活にもしっかり留意し、心技体を整え業務執行にあたりましょう。
井上和幸
株式会社 経営者JP
代表取締役社長・CEO
早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より現・リクルートエグゼクティブエージェントに転職、マネージングディレクターに就任。2010年2月に株式会社 経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。2万名超の経営人材と対面してきた経験から、経営人材の採用・転職支援など提供している。業界MVPを多数受賞。著書は『30代最後の転職を成功させる方法』他。「日本経済新聞」「プレジデント」「週刊ダイヤモンド」他メディア出演多数。