長妻議員は「見る人が見れば、ああ、この方はこういう御病気だなというのが分かる」というが、保険証番号を手掛かりに特定の個人の医療情報全体を知ろうとしたら、個々の医療機関ではなく、保険組合のデータベースをハッキングする必要がある。だから、岸田文雄総理大臣は「医療機関等と支払基金との間のネットワークを閉域とするなど、高いセキュリティーを確保しており、昨年十月の運用開始以来、現在まで、情報漏えい事案、これは一件も生じていないところであります。」と答弁したわけだ。
医療機関は、その患者が他の医療機関でどんな治療を受けているか知ることはできない。保険組合に集約されたレセプト情報にアクセスできないからだ。その結果、病気Aを治療する医療機関αと病気Bを治療する医療機関βが相矛盾する治療を施すかもしれない。飲み合わせの悪い薬をαとβが処方するのが典型例である。これを避けるために、αとβに通院する患者が、自分の意志で、αとβ間でのレセプト情報の共有に同意する。これが、長妻議員の言う「レセプトの共有化もできるわけですね、御本人の同意で」である。
質疑を通じて保険証とマイナンバーカードの一体化に長妻議員は反対した。長妻議員は立憲民主党の政務調査会長だから国民への露出が多い。そのような議員が、「もし本人が同意していたら」「もし情報が漏洩したら」と、「もし」を積み上げて論陣を張るのは困ったものだ。リスク回避志向の国民は多いので受けるかもしれないが。消えた年金問題で名を馳せた長妻議員は「総理、私もデジタル化はもちろん賛成です」と質問中に発言しているが、それなら別の質問ができたはずだ。
NPO法人「万年野党」が臨時国会での三ツ星議員を選出し、長妻議員も選ばれている。国会での質問回数や質問時間が主な選出基準なので、政調会長として機会が多い長妻議員が選出されたのだろうが、質問の中身を見ると疑問がわく。
国会活動への関心喚起を目的として作られた三ツ星議員リストをもとに、個々の議員の発言内容を議事録で詳しく調べれば、本当の三ツ星議員が見つけられるだろう。