ネクストクラウドソーシングは、コミュニティ型チーム

個人と会社、双方の良いとこどりをする方法は「チームで働く」です。会社組織はチームじゃないか?と思われるかもしれません。その回答はイエスですが、個人集団のチームとは違います。

よくいわれる表現をするならば、メンバーシップ型とジョブ型です。ジョブ型雇用は注目されていますが、現在の日本のルールでは、なかなか本領発揮しづらいのではないでしょうか。そこでさらに変化した形態が、コミュニティ型チームだと考えています。出典元:筆者作成

雇用契約、時間、場所にとらわれないことはもちろん、仕事内容や個人の状況に応じてその瞬間のベストな布陣で、プロジェクトを遂行することができます。

例えるなら、サッカーの代表チーム。攻めが得意な選手、守りが得意な選手など、勝利(目的)のために、適材適所を招集します。その際、その瞬間の選手の状況にあわせて、パフォーマンスが最大化されるチームにするべく人選されます。

その人選の範囲が、雇用関係がない分、圧倒的に広がります。選択肢が多ければ多いほど、ベストチョイスができるはずです。

適材適所を最大化させるには「適時」が必要で、それができる時代になりました。このコミュニティ型チームで稼働することで、会社組織の良いところも含んだまま「個人で働く」の課題をクリアできるのです。

実例:コミュニティ型チームで年間5000万のプロジェクト

全国フリーランス共創コミュニティ・新しい働き方LAB では、コミュニティ型チームでの仕事が存在しています。ここではその一例を紹介します。

クライアント企業は、グローバルメーカーです。マーケティング課題解決プロジェクトをまるごと受けています。下流工程に細分化された業務ではなく、上流工程の段階から、フリーランスチームが手がけています。出典元:筆者作成

このプロジェクトでは、プロジェクトリーダー陣のみ不変ですが、それ以外のメンバーは施策によって流動的に変化し続けています。仕事の成果も出せており、3年程度続いており、年間約5000万円規模となっています。

やるべき施策が変化すれば、当然適任も変わりますが、メンバーシップ型はもちろんジョブ型でも雇用のみの体制と比べると、圧倒的にスピーディーに適した実行部隊を組成できるのは間違いないでしょう。

「でも、そんなに適材をすぐに探せるの?」と思われるかもしれません。そのとおりですが、日常的な関係性があるコミュニティ・新しい働き方LABがそれを実現させる場所となっています。

トヨタでさえ雇用は守り切れない時代。リモートワークがアタリマエとなり、「個人で働く」が普及しました。ただ、「個人で働く」は課題も多く、会社組織の良さもあります。

しかし、会社・個人という枠組みでの目線を外し、仕事の本来の目的に主眼をおくと、パフォーマンスが最大化されることが大切です。リモートワークが広がっていけばコミュニティ型チームという新しい概念を実行できますし、実際に大きな仕事ができることも先述のように証明されています。

クラウドソーシングが次のフェーズに進み、コミュニティ型チームで働くことが広がれば、「個人で働く」はアップデートできると信じています。

<著者プロフィール>

ランサーズ株式会社 CEvO (チーフエバンジェリストオフィサー)
根岸泰之

フリーライターとしてキャリアをスタート。2003年にエン・ジャパン株式会社にコピーライターとして入社。制作部門長、プロ-モーション本部長を歴任し、マーケティング・プロモーション・クリエイティブ、それを支える組織育成など、幅広い観点から約10年間従事。2013年4月、ランサーズにマーケティングマネージャーとして参画し、取締役CMOを経て、現在はチーフエバンジェリストオフィサー(CEvO)。新しい働き方、新しい組織の育み方、新しい事業の作り方を、全国に広める活動に従事。