黒坂岳央です。
以前に「優しい人」を怒らせてはいけないという記事を書いた。少し似ている部分はあるが、今回は「謙虚な人にケンカを売ることの愚かさ」を論考したい。
世の中、謙虚な態度の持ち主に対して「与し易い」「弱い」と勘違いしてマウントを取りに行く人物がいる。だが、気をつけた方がいい。実力者ほど謙虚な態度でいることも多いからだ。それを知らずにケンカを売りに行くと自身の無知を晒して恥をかくことになる。自分の感覚と実際の実力には大きな差が開くことは多い。往々にして、それは相手の実力が自分を大きく超えている時に起きる。

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実力者ほど謙虚、と言われる。そして実際この言葉は正しい。筆者はビジネス講演に呼ばれることがあるが、過去に農林水産省関係の公益法人からの依頼で、大学教授、研究者、ビジネスマンを前にフルーツビジネスの展望や課題をテーマに登壇させてもらったことがあった。
参加者は静かに聞き、講演後に複数名の研究者から質問を受けた。その際、質問者は皆がとても紳士的で丁寧で謙虚だった。「当方、十分が知識がない立場につき失礼があったら申し訳ないですが…」「素人質問で大変恐縮なのですが…」と前置きをするのだが、実際には極めてハイレベルで専門的な知識に裏打ちされた鋭い質問ばかりで驚かされた。9割は即答できたが、しっかり調べなければ確信を持って回答できないものもあった。そのため、「この質問については、確認の上で後ほどご連絡させていただきます」と持ち帰ることになったものもあった。実力者ほど謙虚なので侮れないことを理解した体験である。
また、SNSやYouTube、記事などで門外漢でメディアでかじった知識で専門家にケンカを売る人はかなり見る。たとえば医学の専門家相手に「この薬は実は危険だ。イルミナティの陰謀によって…」といった話をふっかけて「真実を明らかにせよ」と迫る人などである。
ほとんどの場合は相手にされていないか、軽くスルーされているのだが、時には誹謗中傷に耐えかねた相手から訴訟を起こされているケースもある。素人が実力者にケンカを売る行為は恥を晒すことも多いのでやめた方よいと考えるのである。