冬のダイビングは、寒さとの戦いなんていわれることもあるくらい、ダイバーにとっては無視できない問題。寒さを放置すれば、エアの消費が早まってダイビングを思いっきり楽しめないどころか低体温症(ハイポサーミア)や減圧症の発症リスクが高まるとも言われている。とはいえ、防寒グッズや正しい寒さ対策を積極的に取り入れさえすれば、快適で楽しい時間に早変わり。ダイビングの前と最中、後でできうる対策とおすすめ防寒グッズを知っておけば寒さなんて怖くない! 冬のダイビングを最大限に楽しめる情報を紹介していこう。

目次
ダイビング(エントリー)前の寒さ対策
ダイビング中の寒さ対策

ダイビング(エントリー)前の寒さ対策

あたたかい服装をしていく

意外と盲点なのがエントリー前の服装。ビーチ、ボート(エントリー)に関わらず、器材のセッティングやブリーフィングなどで何かと屋外で準備をしたり待機をしたりすることがある。さらに、海沿いは風が強いことも多いので、体感温度は低く感じるはずだ。そこで、暖かく風を通さない服装がマストになるわけだが、とりわけ3首(首、手首、足首)を温めるのが効果的。これらは、ほかの体の部分と比べると脂肪がつきにくく、外気の影響を受けやすい。しかも、太い血管が集中して通っているため、ここを冷やすと身体の血の巡りも悪くなる。一方で、意識して暖めれば、効率的に体をポカポカ状態にできるので、しっかり保温していこう。

おすすめグッズ:フリース、防水ジャケット・パンツ、ネックウォーマー、指あき手袋

風・水しぶきを避ける

特にボートでの移動中は、水しぶきをダイレクトに浴びながら、冷たい風に吹きさらされることもしばしば。水と風を避けられる室内があるボート以外は工夫が必要。まずは、防水のボートコートに身をくるみ、風や水しぶきが避けられるところで待機。準備もなるべくそこで済まそう。水しぶきについては、船首よりも船尾の方がかかりにくいので、参考まで。

おすすめグッズ:ボートコート

ダイビング中の寒さ対策

水温に適したスーツを着る

水中では陸上の約25倍もの速さで熱が奪われるため、体温の低下を予防するスーツ、特にドライスーツの着用は必須。水温に適したスーツを慎重に選んでいきたい。とはいえ、経験がものをいうダイビング。寒さ慣れしたダイバーだと、体が震えているのにも関わらず、「いつもこんなものだから平気」と我慢してしまう人も。しかし、体がブルブル震えるのは、失った体温を取り戻そうと体がエネルギーを使って体温を上げようとしている証拠。この状態になっている時には、体温だけでなく体力まで奪われていることを忘れてはならない。

体力不足では、ダイビングを思いっきり楽しめないほか、急なトラブルへの対応もままならないため、厳重注意。そんな前置きも踏まえ、水温に適したスーツとはどんなものか。それはずばり、寒くないかと聞かれたときに、「平気」「大丈夫」ではなく「快適」と答えられるスーツ。一般的には、ウエットスーツであれば、適応水温は20度まで。ドライスーツであれば、20度以下というようにいわれているが、体感は人によるので「快適」を目安にプロと一緒に選んでみてほしい。

レンタルの場合は、体のサイズに合ったスーツを選ぶようにしよう。まずは試着して、しっかりサイズが合うかを確認させてもらおう。ドライスーツの場合は、インナー選びの良し悪しで暖かさが左右されるので合わせて気を付けるべし。

冬のダイビングを快適に! 防寒グッズ・寒さ対策まとめ<ダイビング前・中・後>
(画像=『オーシャナ』より 引用)

フードやフードベストを着用する

身体の面積で考えると小さくて見落とされがちな頭部だが、実は約75%もの熱がここから逃げている。理由として、他の体の部位よりも皮膚が薄く、脂肪や筋肉が付きにくいためといわれているのも納得。だからこそ、フードやフードベストを着用するのは、防寒対策において非常に効果的。一口にフード、フードベストといっても、形や生地の種類、厚さにバリエーションがあるため、どんなダイビングシーンで使用するか具体的に思い描いてから、選んでいきたい。

ヒートベストを着る

ヒートベストとは、ドライスーツの下に着る防寒グッズで、電熱によって胸囲と背中、お腹周りに「あたたかさ」を感じられる優れもの。即応性の速い特殊素材のヒーターと大容量バッテリーの使用により、すぐに発熱。あたたかさを感じられるのは、スイッチを入れてから、30秒以内と寒さに震える隙はなし。しかも温度は温泉並の温かさである45度をLOWモードとして、50度のMEDモード、55度のHIGHモードの3段階に調節も可能。バッテリーを満充電にした状態なら、LOWモードで5時間以上連続使用できるため、3ダイブも楽勝と、ドライスーツ+αでは今のところ最強防寒グッズといえそう。冬ダイビングを快適に楽しむためにも、手に入れておきたいところ。