飲み合わせの危険性を消費者に広めるには

 薬とサプリの飲み合わせによるリスクは、医療従事者にとって有名な事例でも消費者は知らない場合が多い。誇大広告を防ぐために商品のパッケージや広告には表示規制がされているが、それでも「治療中の病気が治る」と信じてサプリを積極的に飲む消費者も少なくないという。

 その理由として「薬とサプリの相互作用チェッカー」の運用元であるJahfic事務局の企画開発部門の担当者は、「病気を治療中の方の中には、『薬だけでは心もとない』と、わらにもすがる思いでサプリに頼る方もいます。しかし、サプリとは本来、健康な方が健康を維持するために飲むもの。飲み合わせが原因で病気の治療を妨げたり、下痢などの症状を引き起こしたりすることもあるので注意が必要です」と話す。

 部門担当者は、本来であれば消費者の購入窓口となるドラッグストアの店内で飲み合わせに関する注意を喚起してもらうのが望ましいが、実態としては難しいと言う。消費者の関心が最も高いのは商品の有効性であり、ドラッグストアとしてもその部分を訴求したいからだ。

 「一部のドラッグストアにはご理解をいただき、健康食品の有効性とともに飲み合わせの危険性をパネルに掲げるなどの取り組みを行ってもらっています。ですが、そうした情報は“前向きな情報”ではないため、情報提供の優先順位としては低いお店が多いのが実情です」(部門担当者 )

 そうした状況を踏まえ、部門担当者「薬とサプリの相互作用チェッカー」の必要性を説明する。

 「健康食品・サプリのメーカーは、当然ですが薬との併用を前提に商品開発をしているわけではありません。特定保健用食品や機能性表示食品といった制度ができて提供する側の体制は整っていく一方で、消費者には飲み合わせの危険性が浸透していないという状況に危機感を感じています」(部門担当者)

 2022年4月にサービスをリリースしてから半年以上経つが、消費者にはまだ十分に浸透していないと部門担当者 は嘆く。一方で、医療従事者には周知が進んでいるそうで、サービス登録者のアンケートでは医師や薬剤師の登録が多いという。医療従事者が患者に対してサービスの紹介を進めていけば、少しずつ消費者に浸透していくだろう。

 部門担当者は最後に「薬とサプリの相互作用チェッカー」の利用者へ向けて注意を促す。

 「サプリは簡単に手に入る身近な商品ですが、一般的な食品とは異なるものだという意識を、とくに治療中の人や服用中の人は持つべきだと思います。そして『薬とサプリの相互作用チェッカー』はあくまでも情報提供の1つであり、診断や治療行為ではないため、危険な組み合わせだという結果が出た場合、まずは医師や薬剤師に相談していただきたいです」(部門担当者)

提供元・DCSオンライン

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