次に、死者数はどうなっているか。これは世界全体のトレンドと同じく、激減してきた。バングラデシュでは、19世紀に6回、20世紀には18回の壊滅的な洪水が記録された。一度の洪水による死亡者数は数十万人に及ぶこともあった。
下図は、バングラデシュにおける、自然災害による死者数である。縦軸は10年間の平均値で、例えば1970とあるのは1970年から1979年の10年間の平均である。ほとんどがextreme weather とfloodsとなっているが、これはサイクロンと洪水を指す。
歴史上、とくに酷い被害が出たのは、1970年のボーラ・サイクロンだった。じつに20万人から50万人が亡くなったと推計されている。
近年ではこのようなことは無くなり、2000年代以降の死者数はかつてに比べると極めて少なくなっている。
経済成長を遂げ、堤防などのインフラを作り、予報・警報などのシステムを整えてきたおかげだ。
ロンボルグが言うように、このグラフも、「我々の富の増大によって自然災害に対する適応能力が向上しており、それが気候変動による潜在的なマイナスの影響を大きく上回っている」ということを示している。
メディアは、徒に気候危機と煽り立てるのではなく、このようなデータを冷静に見せるべきではないか。
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