具体例としては、人数を多く集めて何も決定できない会議をやめるとか、収益性が低い事業にしがみつくのではなく勇気を持ってスパッと撤退してしまうなどである。取引先に訪問していた営業のミーティングをやめることで、ZOOMオンラインに切り替えることができるだろう。

健康にも同じことが言える。健康になりたいと考える場合は、栄養価のある食品を今の食習慣に加えようとする人が多いが、そんなことをすれば今度はカロリー過多になったり、特定の栄養過剰摂取で余計に不健康になってしまう。だから健康になりたければ、まず今食べている栄養価の低い食品(エンプティカロリーなど)や、添加物たっぷりのジャンクフードをやめることだ。その上で栄養価の高い食品に置き換えればいい。

始めるよりやめる方があらゆる面でパフォーマンスに優れているのだ。

人間関係の悩みも「始めるよりやめる」

筆者が自覚する自己の弱点として、良くも悪くも人間関係にあまりに影響を受けてしまうということである。合う人とはとことんべったり仲良くなれるが、合わない人と上手にやり取りをするということが本当にうまくできない。

相手からレベル1のネガティブなことを言われると、レベル3くらいの強さで解釈してしまいメンタルに悪影響を受けてしまう。相手の話を聞きすぎてしまうのだ。だからサラリーマン時代は同僚や上司との相性で、仕事のパフォーマンスは大きく変化してしまうということがあって困っていた。

だから人間関係に悩んだ結果、新しい人間関係を構築するのではなく、徹底的に合わない人と距離を取るようにした。そうしたことで気がつけば、人間関係の悩みは完全に消えた。「相性が悪い人ともうまく付き合いながら、合う人を探して付き合っていく」という器用なことはできなかったが、相性が悪い人と無理に付き合うことをやめたことで問題は解決した。「やめる」のパフォーマンスの高さを再認識できたと感じた経験だった。

現代人はどんどん忙しくなっている。more is moreという考え方で次々と価値のありそうなものを取り入れるやり方ではすぐに限界が来る。その逆のless is moreこそパフォーマンスが高いと提唱したい。余計なことに時間とエネルギーを使っているほど、人生は長くないのだから。

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