タラコはタラの子、イクラは鮭の子ですが、数の子は……いったい誰の卵なのでしょうか?数の子について調べてみました。
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お正月に欠かせない黄色い食材
お正月のおせちにほぼ必ず入っている黄色い食材と言えば、そう「数の子」ですよね。プチプチとした食感と濃すぎない塩辛さに病みつきになる子供もたくさんいると思います。
しかし、数の子がサカナの卵だというのはわかっていても、いったどんなサカナの卵なのか知っている人は意外と多くはないかもしれません。
もしかしたら依然聞いたことはあっても忘れてしまっている人も多いでしょう。今日は数の子を深堀りしていきます。
数の子はニシンの卵
まず、サカナの卵を使った食材は多く、タラコ、イクラ、トビコ、カラスミなど、日本ではいろんな種類の魚卵が食材となっています。
タラコやトビコなどは名前からタラやトビウオの子供というのはわかりますが、数の子は「数」?となってしまいますよね。※カラスミやイクラの語源についてはまた別の機会に。
結論から言うと、「数の子」は、「鰊(ニシン)」というサカナの子になります。
ただ、ニシンと聞いてもあまりピンとこない人も多い事でしょう。まずはニシンについて調べていきます。
ニシンてどんなサカナ?
ニシンは「ニシン目・ニシン科・ニシン属」のサカナで、北の方の水温が低い海を回遊しているサカナです。
頭がイワシに似ているため、東北の一部地域では「かどいわし」「かど」等と呼ばれています。
明治時代や大正時代は富山・秋田・青森などで水揚げされていたニシンも、現在ではほとんど北海道でしか漁獲されていません。これは温暖化による水温の上昇が原因だと考えられています。
名前の由来
では話は数の子にもどり、なぜニシンの子が「数の子」っていうのか見ていきましょう。
実は数の子の「数」はタラコのタラと同じように、ニシンのことを指しています。
というのも、ニシンは前述のとおり「かどいわし」「かど」と呼ばれています。これにより、数の子は「かどのこ」呼ばれていましたが、いつの頃からか「かど」が訛り、だんだんと「かずのこ」になったと考えられています。
また、「数の子」の「数」は、卵の数が多いニシンへの当て字にされたとも言われています。
おせちの定番の理由
数の子といえば、「おせち」ですが、なぜおせちの定番メニューになっているのでしょうか?
それは、「ニシンの卵の数がとても多い」からです。
おせちに入る数の子には、”子孫繁栄”の願いが込められており、「子宝に恵まれますように」「子供がたくさん生まれてますように」「家族がずっと続きますように」などといった願掛けになっているのです。
ニシン1尾の産卵数は他のサカナの産卵数に比べてはるかに多く、鮭の一回の産卵数である3,000~4,000粒に対し、ニシンは3万~10万粒ぐらいと言われ、はるかに産卵数が多いのです。
さらに数の子だけではなく、ニシンも願掛けになっており、ニシンの響きから「二親」と当て字をし、二人の親に子どもが生まれますようにという願いが込められているという説もあります。
数の子は家族が健やかに賑やかに続いていくことを祈願したとても縁起のいい食べ物なのです。