日本は地域によって自治体独自の給付金や免除制度が受けられるところがある。受けられる自治体と受けられない自治体との違いは、“お金がある街”と“ない街”の違いによるところが大きいだろう。いわば、自治体の財政が潤っているか困窮しているかの違いだ。
では、“お金がある街”と“ない街”では給付金などの取り組みにどのような違いがあるのだろうか。また、どちらに住んだほうがお得なのだろうか。
お金がある街の取り組み内容
2022年時点で日本一豊かな街といわれている愛知県海部郡飛島村では、結婚したら5万円、出産したら1人につき10万円が支給される。小学校や中学校に入学した場合にも、子ども1人当たり10万円が支給されるという。そして90歳になった高齢者には誕生祝で20万円、95歳になれば50万円、100歳になれば100万円が支給される。
関東で財政力ランキング1位になった千葉県浦安市では、市立の小学6年生と中学3年生の給食費が免除される制度がある。また条件によるが、大腸がん・肺がん・胃がん・子宮頸がんなどの検診が無料になる。
どういった面に違いが生まれるのか?
お金がある街とない街では、祝金の内容や対象者、金額に違いが出る。また、お金がある街では、タクシー料金やバス料金、プールなどの各種施設の利用料が無料になったり割引されたりすることもある。
子どもから高齢者まで、学校や日常生活においてさまざまな給付や免除を受けられる点が特徴といえるだろう。
お金がある街とない街でどれくらいの差があるのか
先述した愛知県海部郡飛島村と、2022年時点でもっともお金がない街といわれている鹿児島県鹿児島郡三島村を比較してみよう。
<愛知県海部郡飛島村の取り組み>
・結婚5万円
・出産1人につき10万円
・小中学校入学で10万円
・90歳で20万円
・95歳で50万円
・100歳で100万円
<鹿児島県鹿児島郡三島村の取り組み>
・定住促進助成金:助成金は1人世帯月額8万5,000円以内など3年を限度に支給
・定住促進報償:報償として一世帯30万円または子牛1頭、2人以上の世帯は50万円または子牛1頭を支給
・出産:第1子10万円、第2子20万円、第3子30万円、第4子40万円、第5子50万円
・敬老金支給事業:70歳以上7,000円、80歳以上は1万2,000円以内で支給
確かに、お金がある街の方が受け取れる金額が多くなる傾向にある。しかし、お金がない街だからといって何も支給されず補助もないのかというとそうではないのだ。
お金がない街もさまざまな工夫をしている
2015年国勢調査によると、鹿児島県鹿児島郡三島村は高齢化率27.5%と典型的な高齢者の街。また、鹿児島県の中で最も小さい自治体でもある。そのため、過疎化などが原因でお金がない街といわれている。
しかし、山村留学や地域おこし協力隊などを活用して移住者の支援を実施している。また財政力が乏しい街には、他の街と差が生まれない(標準的な行政サービスを保証する)ように、国から地方交付税が街に支給される仕組みになっている。
そういった財源をもとに、IターンやUターンの助成制度を設けるなど人口拡大対策を行っている。
自治体の取り組みを調べて移住先を決めよう
お金がある街のほうが、さまざまな給付金や免除を受けられてお得と感じる人もいるだろう。だからといって、お金がない街に住むことが損なのかというとそうではない。お金がある街に住んだとしても、自分にとって必要のない祝金やサービスの場合は意味がないからだ。
もし引っ越しや移住を検討しているなら、自治体がどういった取り組みをしているのか、どんなメリットがあるのかを調べてから決めるとよいだろう。
文・山村望愛(ファイナンシャル・プランナー)
国立大学経済学部卒業後、大手証券会社に入社。約8年間、窓口にて個人向けの資産運用アドバイスを行う。夫の転勤を機に退職し現在はライターとして活動中。投資初心者向けの記事などを執筆している。
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