ではなぜ、若者はそっぽを向いたのでしょうか?2018年のある記事に「駅伝が好き」と答えた人は全体の31.7%に留まるとあります。(「しらべぇニュース」より)更に年代別で見ると60代は49.1%が好きと答えたのに対し年層が下がるごとに比率が下がり、20代になると23.2%しか好きと答えていないのです。
私は往路、復路それぞれ5-6時間という長さだけではないとみています。紅白歌合戦の視聴率は1962年は80.4%、今回は二部制で前半が31.2%、後半が35.3%と着実に下落しています。紅白と駅伝は時間が長いという共通点もありますが、若者がそっぽを向くという共通点もあります。大みそかの夜は各局、裏番組に力を入れた時代もありましたが、それも終わったな、という気がします。つまり観る時代ではないというのがキーワードです。
スポーツは観るものから参加するものに着実に変わったこと、その参加できるスポーツはあまりにも種類が多くなり、絞れなくなったことはあると思います。これは現代社会が成熟している証です。例えば南米のサッカーはなぜ強いのか、その理由の一つはそれ以外に若者が熱狂できるスポーツが少ないからです。南米のサッカーは自分がサッカーをプレイし、観戦もするという相乗効果があります。先進国はそれがだんだんばらけてきた、というのが私の感想です。
昔、取引先のユダヤ人社長とプロアイスホッケーを観戦したことがあります。その時、その社長がこう言うのです。「アイスホッケー、面白いか?俺にはちっとも楽しいと思わない。カナダは寒くてすぐに凍り付くからホッケーが強くなったんだ。娯楽がなかった時の名残だな」と。誘っておいてずいぶんな言い分だと思いましたがあながち間違っていないな、と印象に残っていました。
もう一点はメディアに踊らされた気がします。箱根駅伝は日テレですが、その前日にはニューイヤー駅伝がTBSで放送されてます。それ以外に年末には日本女子大学駅伝、1月15日にも全国女子駅伝と正月は駅伝だらけでフォーカスできなくなってきたこともあるでしょう。
私は来年以降も駅伝はチェックするとは思います。それは北米太平洋時間だと正月と1月2日の夕方の放送なので酒を飲みながら観戦できるという時間的メリットがあるのです。が、何か、試みを変えていく必要はあるのかもしれません。来年度は100回大会で関東学生連合ではなく、日本学生連合になるので門戸を広げるようです。ただ、巨人阪神戦や早慶戦のような伝統の一戦としての盛り上がりを好む長年のファンも多いわけで駅伝は今のままで良いという声がきっと主流なのだろうな、と察しております。原監督に言わせれば「これじゃ、選手が集まらない」と嘆くことしきりだと察していますが。
では今日はこのぐらいで
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年1月4日の記事より転載させていただきました。