「端末」に使われたくないですよね。私はバスによく乗るのですが、スマホでバス停の番号を入力すると次のバスが何分後に来るか表示されます。あるいは目的のバスが今、どこを走っているか確認できます。一方、自分が向かう先の道路状況は渋滞情報でつかめますが、かなりアバウトです。私が工夫するのはバスが来るまでの待ち時間と徒歩のスピード、この先の渋滞によるバスの遅延予想を推測し、何処まで歩くとバスと合流できるかを自己判断し、ひたすら早歩きをするのです。8割は歩きの方が勝ちです。こうやってテクノロジーに使われるのではなく、使い倒します。

私はマネーの話をよく話題にします。昨年末、何人かの人から「持ち株が下がりどうしようかと思う」という嘆きのような相談がいくつかありました。私はFPではないので個別の相談は受けませんが、多くは情報を信頼し、自己判断を封印したようです。我々は日常、あらゆる失敗をし続けています。オンラインショッピングで酷いものが送られてきた、あのレストラン、口コミ情報と違っていた…というのは情報の整理と判断の難しさとも言えます。

ポータルサイトのニュース欄でも大手メディアのネットニュース欄でも重大な事件と軽微な事件、芸能スポーツやゴシップ記事がごちゃ混ぜになって表示されます。人々はそれら羅列情報を取捨選択しにくくなっています。紙の新聞は絶滅種予備軍ですが、そこには編集技術で見出しが縦書き、横書き、フォントの種類やそのサイズ、背景の柄、囲み記事などあらゆるテクニックが隠されています。なので人々は知らず知らず記事を俯瞰できたのです。今のネットニュースではそれが出来ません。よって意識的にそれをしない限り、人々は重大な情報を見落としやすくなります。

私は国際関係、外交、政治、経済、社会、文化、教育、科学などあらゆるものを選り好みせず読むようにしています。今では一つの分野の知識だけでは応用が効かないからです。ビジネスや日常生活、人との付き合い、そしてこのブログでも単一の深掘りではなく、脳内の広範な知識のファイルから何が重要なのかを瞬時に引っ張り出すのです。これはいくらテクノロジーが進化しても出来ないと思います。

日常生活には様々なことが常におきます。事件簿のような自分とはやや関係が薄い社会事件、友人、身内や家族、あるいは地域に関係すること、仕事のこと、そして自分の事です。実に多岐に渡ることを全て掌握するのは大変ですが、それらをテクノロジーに使われるか、使い倒すか、という意識を持つだけで世の中の見え方はまるで変わるはずです。

新年一発目のブログですので世界観や経済、政治、ビジネスのことを書こうとも思ったのですが、今の時代、それ以上に人間の本質と能力、才能、そして自分たちで作る社会を考え、議論し、共生する社会という観点が何よりも優先すると考えました。大所高所に立ってテクノロジーを利用する、何でもないことですが、それが大きな力となり、日本の未来を明るくすることになると確信しています。

では今年もどうぞよろしくお願いします。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年1月1日の記事より転載させていただきました。