中国でのコロナ大流行をリスク管理で考える

今の中国の状況は、長く続けていたゼロコロナ政策の大転換の影響で感染爆発が顕在化している状況であろう。

この時点で日本に危機事態が発生している訳では決してないが、リスクとしては想定する必要がある。それは中国で感染爆発中のウイルスの日本への流入による影響である。

中国で流行中のウイルスが日本と同じオミクロン株であれば、流入しても何ら問題はない。それは発生被害が既に日本国内で流行している状態から何ら変化は無いからだ。

オミクロンから更に変異した新しい変異株だったとすれば、かなりの確率で弱毒化していると考えるのが通常であろう。それがウイルスの通常の性向だからだ。確かに強毒化した変異株の可能性がゼロとは言えないが、この確率は極めて低いと考えるべきなので、リスク値としては低くなる。この場合も日本側のリスクはそれほど大仰に考えるべきではない。

唯一リスクとして想定すべきなのは、COVID-19ではなくCOVID-22とも言うべき新たなウイルス性感染症であった場合だ。この場合は、人が免疫を持たず強毒性を有する可能性が高まる。

そうやって考えると、真っ先に日本の立場でリスク管理として行うべきは、中国で流行中のウイルスの解析を行う事でリスク値を明確化することなのだ。

確かに中国政府の公式発表はプロパガンダとして信頼できないのは当然だろう。中国での感染状況や死亡率などの情報も、ゼロコロナを継続した結果の数字であるのと、ワクチン自体も自国ワクチンのみの状況なので、他国との比較に値するとは思えない。

国家としてゲノム解析などの対応に非協力的であろうが、在中国の邦人や帰国者などから検体採取するなどしてゲノム解析を急ぐべきなのだ。

そうやって考えると、専門家と呼ばれる先生達は今何をやっているのだろうか?今こそここ数年の体たらくを払拭するべき時なのだが。素人をバカにして煽りまくり、検査ビジネスや病床確保補助金の既得権益に浸り過ぎて、本当の役割を見失っているのだろうか。

政治もなぜ強くその点を追求しないのか意味不明である。

法治国家としての法的根拠

岸田政権の中国コロナ大流行に対する政策で致命的に間違っているのは、法治国家としてあり得ないダブルスタンダードにある。

新型コロナに対しては国内では2類相当から5類への緩和を検討し始めている。これはウイルス自体が弱毒化し、正体不明ではなくなりリスクとして正確に評価できる状況になっているからであり、至極当然の取り組みであり、遅すぎるぐらいだ。

ならば、その感染症がどれだけ流入しようとも、日本国内における感染対策と何ら異なる訳では無い。同じウイルスで違った規制を必要とする道理はないのである。

安倍政権時の新型コロナ初期の中国入国規制の甘さとは実は根本的に状況が異なる。

あの時は、規制する法的根拠がなかったのが現実であり、ダイヤモンドプリンセスなどのクルーズ船からの入国を規制する為に、急ぎ法整備をして2類相当に分類して対処したのである。

ということは、日本国内の新型コロナウイルスと、現在の中国で流行している感染症を、別物として分類しなければ、入国規制に法的根拠が保てないのだ。

何か危なそうだからといって、科学的根拠もなく規制することは、法治国家のものではなく、魔女裁判の誹りを免れないだろう。