目次
■表現者として、大切に体現している3つの軸
■初の映画主題歌の歌詞制作に込めた、等身大の真っさらな自分
映画、テレビ、音楽を中心に、エモーショナルなスタイルで、確固たる存在感を示す桐谷健太さん。
多方面で活躍する計り知れない表現力の源泉を探るべく、創作過程や習慣について、また心の奥底にあるという隠れ家の存在や大切にしている価値観などを赤裸々に語ってもらった。
【プロフィール】俳優 アーティスト 桐谷健太
1980年2月4日生まれ、大阪府出身。2002年に俳優デビューして以来、数多くの映画、ドラマに出演。音楽の分野でも着実な活躍を見せ、表現力溢れるボーカリストであると共に、豊かな音楽感性を持ち合わせ、ドラム・三線を弾きこなす。『au 三太郎シリーズ TVCM オリジナルソング』としてオンエアされ大ヒットを記録した『海の声』など、数々の作品で多才さを発揮している。
■表現者として、大切に体現している3つの軸

考えたこともなかったんですが、今パッと思いついたのが、1つは自分の好きを貫くこと。2つは「わがまま」という概念。3つは柔軟に結果を受け入れる姿勢。
自分のやりたいことを自由にやった先に表現があって、また新しいアイデアが生まれてくる。自分の好きを表現している間は自分らしくいられるし、好きを楽しんだんだから結果や評価をあまり気にしすぎない。だからこそ、自分の中の「やりたい!」って最初の気持ちを大事にしてます。
その中でも歌に関しては、自分の中で“気持ちよかったら正解”っていう価値観があります。音楽番組に出演した時も、レコーディングの時も、自分が気持ちよく歌って満足できれば、それが凄く大切。聴く人の感覚は自分ではどうしようもない範疇ではありますが、自分が気持ち良い方が、聴く人も気持ち良くなれると感じています。
そんな音楽活動で、最近新たな挑戦がありました。2023年公開の映画『嘘八百 なにわ夢の陣』の主題歌を担当させていただいたんですが、自分が出演しない作品で主題歌を歌うのは初めての経験で、とても光栄な気持ちになりました。
今回の映画は武正晴さんが監督を担当してるんですが、僕がデビューしてから一番最初に出た映画『ゲロッパ』で、助監督さんとしてご一緒した方なんです。去年の京都国際映画祭で僕が「三船敏郎賞」をいただいて、その時に武さんも監督賞を受賞されて、一緒に舞台に上がったんです。舞台袖で「なんか感慨深いね」という話をしました。そういうご縁もあって、映画の主題歌を健太に歌ってもらおうとピンときてくださったみたいです。
■初の映画主題歌の歌詞制作に込めた、等身大の真っさらな自分

監督の武さんから主題歌のイメージやリクエストがありました。「口笛を吹きながら散歩をしている時に、明るい日差しが差し込むような曲にしたい」と。映画を観た感覚と、武さんの言葉に背中を押され、「誰かが書いた詞をそのまま歌うんじゃなくて、自分の言葉で歌詞を書きたいな」と思いました。
武さんからの情熱的なオファーをもらって少し経ったある日の朝、頭の中にどんどんフレーズが流れてきたんで、一気にメモして、マネージャーのもゆるさんに送り、それをもゆるさんが形にしてくれて『夢のまた夢』の歌詞が完成しました(※)。
今回の主題歌が使われている『嘘八百 なにわ夢の陣』は、夢を追いかける人たちの姿が描かれてるんですが、自分もそんな姿勢を貫きたいと日々思ってます。そんな気持ちを込めて、映画の主題歌を歌いました。
※『夢のまた夢』は、桐谷健太さんと桐谷さんのマネージャー・もゆる氏により歌詞を共作。